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【アラスカの大地から】「紅葉の海」に身を投じて

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【アラスカの大地から】「紅葉の海」に身を投じて

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小型のカバの木、ベアベリー、ブルーベリーの紅葉が辺りを覆い尽くす=2014年9月2日、米アラスカ州(松本紀生さん撮影)  2014年8月25日

 ずっと来たかった場所にようやく立つことができた。これまで何度か上空をセスナで飛んで紅葉の空撮をしていた所だ。

 広大な北極圏の中でなぜかこの一角だけ、驚くほど鮮やかな紅葉が広がる。ただ着陸場所が小さな砂州しかないため、変化しやすいその形状や川の氾濫に阻まれ、今日まで着陸ができなかったのだ。小さな村から飛ぶこと1時間半。辺りはピークを迎えようとする紅葉の海と化している。

 8月26日

 キャンプの周辺を歩く。すでに紅葉し切って散り始めている葉もあれば、まだ緑のものも少しある。いずれにしても、予定している9月4日までには紅葉は終わってしまうだろう。

 8月27日

 雨が降ったりやんだりのぐずついた天気。葉が散ってしまいそうで、気になって仕方がない。

 8月28日

 ものすごい紅葉。到着してからわずか数日でこんなにも変わるものなのか。紅葉の大海原をかき分け歩く。悪天候のせいで数時間しか撮影ができず悔しい。色は今がピークだろうか。あと数日はもってほしい。

 ≪8月30日 周囲の山に初雪…もう冬がそこまできている≫

 8月29日 

 昨夜からずっと雨。テントをたたく雨音が恨めしい。風がないのがせめてもの救いだ。現在22時。気温0度。6月からアラスカで撮影を始めて3カ月近くがたった。思えば春先の北極圏もこんな気温だったなあ。あっという間に季節が過ぎようとしている。

 8月30日

 増水で砂州が浸水する。みるみるうちに水位が上がってくる。一段高い場所に設営しているテントも危うくなってきたので一旦たたんで移動する。周辺の山々には初雪が降ったようだ。

 8月31日

 水がひく。天候が回復したので片道1時間半かけて一番近くの山まで歩く。高台から見渡す紅葉はさらに圧巻だ。現在の時刻、零時20分。うっすらとオーロラが頭上を舞う。北の空はまだほのかに明るいが、もう冬がそこまできている。気温マイナス4度。

 9月1日

 一日中雨。迎えを明日に変更したが、砂州の状態が気になる。これ以上増水しないでくれと祈る。

 9月2日

 予定時刻を過ぎてもセスナがこない。それどころか雪が降り始める。足止めを覚悟し、再度テントをたててもんもんと過ごす。2時間後、もやの隙間を突いてセスナが来てくれた。(写真・文:写真家 松本紀生(のりお)/SANKEI EXPRESS

 ■まつもと・のりお 写真家。1972年生まれ。愛媛県松山市在住。立命館大中退、アラスカ大卒。独学で撮影技術やキャンプスキルを学ぶ。1年の約半分をアラスカで過ごし、夏は北極圏や無人島、冬は氷河の上のかまくらでひとりで生活しながら、撮影活動に専念する。TBS「情熱大陸」で紹介される。著書に「原野行」(クレヴィス)、「オーロラの向こうに」「アラスカ無人島だより」(いずれも教育出版株式会社)。日本滞在中は全国の学校や病院などでスライドショー『アラスカ・フォトライブ』を開催。

 【ガイド】

 松本紀生さんが撮影したアラスカの大自然や動物たちの写真を巨大なスクリーンに映し出す「煌(きら)めきフォトライブ 松本紀生のアラスカ・オーロラ夢紀行」を開催します。マッキンリー山に降り注ぐオーロラや躍動するザトウクジラ…。7月から9月にかけて撮影した新作も含め、ダイナミックな映像をバックに撮影時のエピソードをちりばめながら松本さんのユーモアあふれるトークであなたをアラスカの大地へと誘います。

 「煌めきフォトライブ」は、大阪市北区梅田3の4の5の「オーバルホール」で、2014年12月7日(日)午後1時開演。全席自由で2300円。(未就学児童は入場不可)。問い合わせは(電)06・6647・2323(平日午前10時~午後5時)サンケイリビング新聞社(大阪)まで。matsumotonorio.com

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