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【御嶽山噴火】相次ぎ身元判明 「信じられない…」

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【御嶽山噴火】相次ぎ身元判明 「信じられない…」

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御嶽山(おんたけさん、3067メートル)噴火による犠牲者のひつぎを遺体安置所から車に運び込み、手を合わせる関係者。火山活動による犠牲者数では戦後最悪となった=2014年10月1日午後3時55分、長野県木曽郡木曽町(共同)  47人が犠牲になる戦後最悪の火山災害となった。御嶽山(おんたけさん)の噴火から5日目の1日、山頂付近で心肺停止の状態のまま取り残されていた登山者35人が次々と麓に搬送され、全員の死亡が確認された。夜にかけては犠牲者の身元が相次いで判明。仮設の遺体安置所となった旧校舎では、多くの遺族や友人らが大切な人と無言の対面を果たし、悲痛な空気が広がった。

 元気で明るい子

 死亡が確認された東京都中央区の会社員、上方(かみかた)麻衣さん(31)。「元気で明るい子だった。戻ってきたとき、どんな顔で迎えればいいのか…」。北海道大空町の実家に住む母親は電話取材に対し、声を震わせながら話すのがやっとだった。

 山に入る約1週間前、電話で話したのが、家族と最後の会話になった。直前まで旅行していたベトナムのことなどを父親の敏浩さんに楽しそうに話していた。敏浩さんは、すでに現場に向かったという。

 麻衣さんは日本生命保険の子会社「ニッセイアセットマネジメント」(東京)で勤務し、多忙な毎日を送っていた。「今年の正月に帰ってきたときは、とても元気な様子だった」と母親。帰省するのは年に1、2回程度だったという。

 母親によると、麻衣さんは今回、友人と3人で御嶽山に登ったらしい。富士山に続き今回が2回目の登山だった。

 小中高で同級生だった札幌市の男性(30)は、常にクラスの中心にいる人気者だった麻衣さんの姿を思い出す。中学校では生徒会の副会長を務めていた。「とても活発でいろんな所に旅行していたと聞いていた。亡くなったのは信じられない」と話した。

 東京都の友人の男性(31)は、2年前に共通の知人を通じて麻衣さんと知り合った。友人が多く、行動的な性格が印象に残っているという。「同姓同名の人が亡くなったのではないか。まだ信じられない」と声を落とした。

 物静かなお嬢さん

 1日に身元が確認された神奈川県小田原市の会社員、佐野秋乃さん(36)。佐野さんの両親と親しいという近くに住む男性(69)は「落ち着いて物静かな“お嬢さん”という雰囲気のきれいな人だった」と話し、「ご両親は本当に娘さんを大事にしていた。行方不明と聞いたときは青ざめた。今は驚きで何も言えない」と肩を落とした。

 近隣の住民によると、佐野さんは両親と3人暮らしで、よく家族で出かけていたという。近くに住む主婦(67)は「まさかこんな近くに犠牲者がいるとは驚いている。本当に気の毒で…」と言葉を詰まらせた。

 佐野さんの自宅には1日、親族とみられる人々が訪れていたが、いずれも沈痛な表情を浮かべ、集まった報道陣の問いかけにも多くを語らなかった。(SANKEI EXPRESS

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