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大荒れ相場 アベノミクス正念場 東証2カ月ぶり1万5000円割れ 円も急騰

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大荒れ相場 アベノミクス正念場 東証2カ月ぶり1万5000円割れ 円も急騰

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日経平均株価の1万5000円割れを示すモニター=2014年10月14日午前、東京都港区東新橋(共同)  金融市場が荒れ模様だ。連休明け14日の東京株式市場は、世界経済の減速懸念を受けた米株安と円高の流れを受けてほぼ全面安の展開となり、日経平均株価は1万5000円を約2カ月ぶりに割り込んで取引を終えた。外国為替市場では、安全資産とされる円を買う動きが強まり、円相場は一時1ドル=106円台まで急伸。相場の急変動で日本経済の先行きに暗い影が忍び寄っている。

 欧州不透明感のあおり

 日経平均の終値は5営業日続落し、前週末比364円04銭安の1万4936円51銭。9月中旬には年初来高値水準となる1万6200円台をつけていたが、わずか半月ほどで1000円超の下落となった。直接のきっかけは、前日の米ニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均の終値が前週末比223ドル安と約半年ぶりの安値をつけたことだが、背景には欧州を中心に世界経済の先行きに不透明感が広がっていることが挙げられる。

 甘利明(あまり・あきら)経済再生担当相は14日の記者会見で、「世界経済に不確実性が広がっている。日本経済はこのあおりを受けている」と分析。一方で、「個人消費は弱含んでいるが、企業収益は過去最高で、雇用情勢の改善は堅調、設備投資意欲も旺盛。個々の要素はいい」と強調したが、「日本の景気回復のもたつきが株価に反映されている」(エコノミスト)との見方もある。

 外為市場も大きく動いた。14日の東京外為市場は、約1カ月ぶりの円高ドル安水準となる1ドル=107円台前半で推移。日本時間14日夜の欧州の外為市場では、1ドル=106円台後半まで円が買われた。円相場は今月1日に1ドル=110円台をつけてから、わずか2週間で3円超買い戻された形だ。

 みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「国際通貨基金(IMF)が世界経済見通しを下方修正したことに加え、米国内でエボラ出血熱の感染例が確認されたことも、リスク回避の動きにつながっている」と分析する。

 「安定させる政策を」

 ジェットコースターのように変動する相場に、企業からは不満や不安が漏れる。代表的な輸出関連企業である日産自動車の川口均専務執行役員は「円安は歓迎するが、相場は安定的に推移した方が長期的な計画を立てるにはいい」と指摘。約2100社の中小企業が加盟する東京中小企業家同友会の担当者は「政府が株価を上げるために無理に円安誘導しようとするから、円相場がコロコロ動く。中小企業が安心して商売できるように、円相場を安定させるような政策を考えてもらいたい」と注文をつけた。

 第一生命経済研究所の嶌峰義清(しまみね・よしきよ)首席エコノミストは「事業会社が荒れる市場に翻弄されるようになると、設備投資などを控えることにつながる」と指摘する。

 世界経済の先行き不安が顕著になるにつれて、日本企業の業績への悪影響も現実味を増す。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は、いよいよ正念場を迎えている。

 ≪「経済好循環づくりが大事」≫

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官(65)は14日の記者会見で、東京株式市場で平均株価が大幅下落したことに関連して「企業が設備投資や賃上げ、雇用改善に努めて、経済の好循環をつくりあげていくことが大事だ」と述べ、アベノミクスを引き続き推進していく姿勢を強調した。

 菅長官は「(安倍政権の発足後、株価は)世界と比較しても大きく上昇した」とこれまでの実績も指摘した。

 外国為替相場に関しては「為替相場はプラスとマイナスの両面がある。マイナス面の影響が大きくなりすぎないように注視したい」と述べた。(SANKEI EXPRESS

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