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「最高の環境」で検査と休息 葉山ハートセンター・人間ドック
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脳の断面を撮影し、脳梗塞や脳出血など頭部の病変の手がかりを調べるMRI検査=2014年9月17日、神奈川県三浦郡葉山町
来年で50歳になる。記者、編集者として25年以上。生活は不規則で、不摂生には自信がある。体のどこかにガタがきてもおかしくない。この際、体の隅々まで徹底的に診てもらおうと思い立った。初体験の「人間ドック」。神奈川県葉山町にある高度先進心臓病治療センター「葉山ハートセンター」でお世話になった。
「病気にはもちろん早期発見、早期治療が大切ですが、『問題なし』を確認するために受けるという、気楽な気持ちで楽しんでください」
上野秀樹院長は、明るくこう言って迎えてくれた。
葉山ハートセンターは、「ハート(心臓)」の名の通り、心臓病治療の専門病院として2000年5月に設立された。心臓病治療のために各分野のエキスパートが結集。これまでに2000件を超える心臓手術を行ってきた。特に、心臓機能低下例に対する手術の経験が豊富で、冠動脈や大動脈瘤、心房細動などの不整脈に対する治療にも積極的に取り組んでいる。緊急治療も365日24時間対応している。
三浦半島の葉山の海沿いに立地し、相模湾、江の島、富士山の眺めが広がる。「ICU(集中治療室)で手術から目覚めたときに真っ先にこの景色が目に入る。新しい命の始まりを実感できる最高の場所」と、上野院長は言う。
MRIやCTなど心臓病検査のための最新鋭設備に加え、東京や横浜からも近い立地を生かし、「人間ドック」にも力を入れている。
「騒がしくて忙しい都心を離れ、リラックスした気分で、ひとときの休息を兼ねて、検査を受けてほしい」
こんなにも身も心もゆったりとできる環境で検査を受けると、実際よりも良い数値が出てしまうのではと、いらぬ心配をしてしまうほどだ。
今回、約30項目のほぼフルコースの検査を受けた。胴体を輪切りに撮影し、がんなどの腫瘍がないか調べるCTによる「心肺ドック」。脳を断面で撮影するMRIで脳梗塞や脳出血などの病変の手掛かりを調べる「脳ドック」。内視鏡(胃カメラ)による「上部消化管検査」と、肛門から内視鏡を入れる「大腸ドック」。まさにくまなく調べてもらった。時間の都合で受けられなかったが、オプションで全身のがんを検索する「ポジトロンCT」も関連施設で受けられる。
「内視鏡は初めてですか。やっぱり緊張しますよね」と、気遣ってくれる看護師さん。3リットルもの下剤を時間をかけて飲み、腸内をすっかりきれいにして検査に臨む。麻酔と鎮静剤で、だんだんと意識がもうろうとしてくる。正直、心配だった苦痛はまったく感じない。
「ちょっと胃炎が見られますが、ポリープはありませんね」「腸もきれいです。特に問題ありませんね」
遠くで担当の先生の声が聞こえる。ポリープがあれば、検査のため組織を採取することに事前に同意していたが、幸い何も見つからなかった。
「運動をしましょう。毎日歩くことが一番です」「お酒の量を減らしましょう」
問診では、生活習慣の改善を指導された。もちろん自分でも分かっているのだが…。
検査は朝9時から約6時間で終わり、最後に眺めのよい部屋で食事を頂いた。
「人間、50歳を過ぎると体に無理がたまってくる。50代といえば、まさに仕事に脂がのり、責任ある立場で活躍が期待される。そんな頑張っている人が病に倒れ、救えなかったという悔しい思いを医師として経験してきた。だから、現役バリバリの人にこそ人間ドックを受けてほしい」。上野院長はそう切々と話す。
2週間後、検査報告書が送られてきた。希望すれば、面談で説明を受けることもできる。報告書には、少なくない留意点と指示事項が記されていたが、すぐに治療が必要な病気は見つからなかった。
職場でも家庭でも健康で頑張り続けられるように、生活改善に取り組もう-。人間ドックを受けたことで、本気でそう思うようになった。(小塩史人/SANKEI EXPRESS)