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社会
【香港民主化デモ】長官「中国決定受け入れなら対話」 実現は不透明
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香港の警官隊に催涙スプレーをかけられる民主派のデモ隊=2014年10月16日未明、中国・香港の行政長官弁公室前(共同) 香港の梁振英行政長官(60)は16日、中心部の長官公邸で記者会見を開き、9月28日から街頭占拠が続く香港の大規模デモをめぐり、来週にも民主派系団体の大学生連合会(学連)との「対話」を行いたいと述べ、対話による事態収拾に意欲を示した。しかし、3年後の次期長官選挙で、民主派候補を事実上排除する中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の決定撤回はあり得ないと言明し、中国の「決定」受け入れを対話の条件とした。
政府と学連は今月10日に対話を開始することで合意していたが、政府側がデモ拡大を呼び掛けた民主派の「非協力姿勢」を理由に一方的に取りやめた。民主派は「中国の決定撤回」を求めており、梁氏の発言に再び反発。双方の溝は深く、「対話」の実現は見通せない状況だ。
一方、香港中心部のアドミラリティ(金鐘)にある行政長官弁公室(官邸)前で16日未明、幹線道路を再び占拠しようとしたデモ隊数十人と警官隊が衝突し、警官隊は催涙スプレーを使ってデモ隊を制圧した。発表によると、警官3人が負傷し、デモ参加者2人が逮捕された。
これに先立つ15日未明にも現場を一時占拠したデモ隊を警察が強制排除し、デモ隊の45人を逮捕した。この中で無抵抗の男性が物陰で警官に殴る蹴るの暴行を受ける場面もあり、金鐘の隣接地区にある警察本部前では16日未明まで、数十人が道路を占拠して男性への暴行に対する抗議を続けた。2日連続の強制排除で現場は騒然となり、デモ隊の間で反発が広がっている。(香港 河崎真澄(SANKEI EXPRESS)
≪路上で続く授業「日本人も関心持って」≫
「民主社会は黙って天から降ってこない。私にいま何ができるかを考え、ボランティア講師を引き受けました」
民主派デモ隊が占拠を続ける香港島の繁華街コーズウェイベイ(銅鑼湾)の幹線道路で、授業ボイコットを続ける学生向けに専門家がボランティアで補講を行う「義教(ボランティア授業)」が連日にぎわう。そこで日本語を教える香港女性のティファニー先生はこう言って目を輝かせた。
路上のホワイトボード上の「時間割」には物理や数学、語学のほか「世界抗争史」「民主主義社会」など民主派市民も興味をもつ幅広い科目が並んでいた。補講目的だった義教がデモ参加者向けの「市民大学」に早変わりし、授業には毎回100人以上が集まる。
街頭でのデモ隊に向けた日本語授業でティファニー先生は、足を止めてくれる日本人観光客らにも、民主派がいかに平和的に抗議しているかアピールしたい考えだ。授業を聞いていた林●(=火へんに日の下に立)華さん(33)は、「日本の方も香港の選挙やデモに関心を持ってくれますか」と日本語で話しかけてきた。
だが、民主派を苦々しくみている香港の若者もいる。
「あいつらはデモが終われば大学に戻って、卒業すればスーツを着ていい収入があるが、オレたちにはいま商売しなきゃ家賃だって払えねえ」。九竜半島の繁華街モンコック(旺角)で王と名乗った10代後半の男性は早口でまくしたてた。
デモに参加する学生や市民らの多くは流暢(りゅうちょう)な英語を話し、日本語ができる人も少なくない。だが王氏は広東語とカタコトの中国(北京)語だけ。中学を中退したという。旺角の路上でアクセサリーを売るのが仕事だ。「この前も大学生を殴った」と悪びれず言う。
金融機関のビルがそびえ立つ香港島に対し、九竜半島の旺角は低所得の露天商などが密集している。そこに生きる若者らは「MK族」などと呼ばれる。モンコックの略で、香港の格差社会を象徴する存在だ。腕の入れ墨を見せながら、王氏は「民主だ、選挙だって言ってメシが食えるのか」とすごんでみせた。(香港 河崎真澄(SANKEI EXPRESS)