ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
政治
【小渕氏問題強制捜査】父娘に仕え30年 チェック機能せず 元秘書の折田氏
更新
小渕優子前経済産業相の元秘書で、群馬県中之条町の折田謙一郎前町長の自宅から押収物を車に積み込む東京地検特捜部の係官ら=2014年10月30日午後、群馬県吾妻郡中之条町(小野淳一撮影) 小渕優子前経済産業相(40)=群馬5区=関連の政治団体をめぐる不透明収支問題は30日、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出したことで新たな局面を迎えた。特捜部が捜索対象とした小渕氏の元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長(66)は、秘書退職後も群馬県内の地元事務所を実質的に取り仕切るなど、「県政会の実力者」として知られていた。
「俺がやるしかねえ」
小渕氏の経産相辞任と同じ20日、問題の収支報告書を作成していたことを明らかにし、町長辞職を表明した折田氏。その直前、周囲にこう語っていたという。関係者は「全責任をかぶる決意を感じた」と振り返る。
関係者によると、折田氏は小渕氏の父、恵三元首相(1937~2000年)が初当選した頃から小渕事務所で務め始め、父娘2代に30年以上秘書として仕えた。2000年に恵三氏が急死し、事務所スタッフが代替わりする中で、地元支援組織の実質的なトップとして君臨するようになったという。
ある県政関係者は「07年の群馬県知事選で折田氏は資金の采配から票の取りまとめまで仕切り、苦戦が伝えられた大沢正明氏を形勢逆転して初当選させた」とし、「このことが折田氏を神格化させたと地元では言われている」と明かす。
県政界をも左右するほどの有力者だった折田氏。別の県政関係者は「民主党が勢力を伸ばしていた当時、選挙で自民陣営は折田氏頼み。周辺の誰も頭が上がらない存在だったのではないか」と話す。
小渕氏は辞任会見で、「子供の頃から一緒に過ごしてきた信頼するスタッフの下でお金の管理をしてもらっていた」と述べた。折田氏もそのうちの一人だったとみられる。
だが、そうした信頼関係の中で、折田氏の行動に対する小渕氏側のチェックが機能しなくなったことが問題の背景にあるとみる政界関係者もいる。
恵三氏時代から小渕陣営を支援する男性は「恵三氏が亡くなり、有力秘書が徐々に抜け、最後に残ったのが折田氏。『城代家老』に対する東京のコントロールが利かなくなり、甘い会計処理をチェックできなかったのだろう」と推察する。
男性は「優子さんは恵三さんが築いた組織の上に乗っかっただけ。自身は苦労をしていないので、政治家として甘さがあったのだろう」と話した。
男性の言葉通り、群馬県はかつて恵三氏、中曽根康弘氏(96)、福田赳夫(たけお)氏(1905~95年)の首相経験者3人が熾烈(しれつ)な選挙戦を繰り広げ、“上州戦争”とも呼ばれた。もともと地盤のあった中曽根、福田両氏に挟まれた小渕氏は選挙区内のあらゆる地区に小さな支援組織を立ち上げ、地道な苦労を積み重ねて組織を作り上げた経緯がある。
ある事務所関係者は「折田氏が秘書を退職したことも問題。きちんと引き継ぎができず、処理がおざなりになったのではないか」とも指摘した。
≪地元「古い体質に終止符を」≫
「捜査ですべてが解明され、こうした問題が二度と起きないようになることを願う」。東京地検特捜部の強制捜査が行われた30日、小渕氏の地元では“政治とカネ”浄化に期待を込めた声が上がった。
「誰が見ても、納得できるような報告書ではなかった。非近代的なことが続けられてきた」
家宅捜索を受けた小渕氏の元秘書で、群馬県中之条町の折田謙一郎前町長を知る男性はこう話す。その上で、「ほかの議員も立て続けに政治資金問題を指摘されており、氷山の一角。与野党ともに、ずさんな会計をしてきた古い体質に終止符を打つべきだ」と指摘した。地元選挙区のある市議は「折田氏は自民党政治の中枢のなかの中枢にいて、金銭感覚がまひしていたのではないか」とみる。
この日は朝から、東京地検の係官が群馬県内の関係先を捜索した。中之条町内の折田氏宅には午前8時40分ごろ、東京地検の係官が入った。約10時間後には、係官が段ボール6、7個をかかえて建物から出た。群馬県高崎市内の後援会事務所の捜索もほぼ同時刻に開始。近くの70歳代男性は「普段は静かな場所なのに…。まさか小渕議員の事務所がこんなことになるなんて」と話した。(SANKEI EXPRESS)