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【清水直行のベースボールライフ in NZ】21U W杯の悔しさ糧に勝利目指す

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【清水直行のベースボールライフ in NZ】21U W杯の悔しさ糧に勝利目指す

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台湾のインターコンチネンタル球場で行われた野球のU21ワールドカップの開会式。ニュージーランド代表も参加した=2014年11月7日、台湾・台中市北屯区(鳥越瑞絵撮影)  手に汗握る展開になるとは、思ってもみなかった。だが、目の前で起きている試合展開は、紛れもない現実だった。八回を終えたとき、ニュージーランドは韓国を1-0でリードしていた。

 11月上旬に台湾で開催された野球の21Uワールドカップ(W杯)。日本が、プロの若手らで構成する代表を送り込んだこの大会に、ニュージーランド代表も参加した。私にとっては、ゼネラルマネジャー補佐に就任後、初めて帯同した国際大会になった。

 冒頭の場面は、1次ラウンドでの韓国戦。先発したボイス・ジェームスが8回を1安打に抑える快投を演じた。183センチ、86キロと外国人にしては決して大きくないスリークオーターの右腕は、米シアトル在住のまだ17歳。高校生の年代だ。

 最速140キロを超える直球に加え、変化球はスライダー、チェンジアップ、カーブ。制球難が課題で初戦のイタリア戦のように自滅するパターンが目立ったのだが、韓国との大一番では期待以上の働きをした。

 だが、層の薄さはいかんともしがたく、奇跡を起こすまでにはいたらなかった。九回に2番手投手が打ち込まれてたちまち4失点。悔しい逆転負けを喫した。1次ラウンドを突破できず、続く順位決定戦でも、主力を欠くとはいえ格上のベネズエラに対し、八回まで4点リード。オランダ戦でも中盤まで勝っていた。いずれの試合も勝ちきる力が、ニュージーランドにはまだない。ベネズエラにはサヨナラ負けを喫し、オランダにも中盤の大量失点でひっくり返された。

 確かな手応えと課題

 厳しい結果を受け止めた上で、確かな手応えもつかんだ。本音を打ち明ければ、もっと苦戦すると思っていた。もっと簡単にひねられてしまうと思っていた。

 世界ランキング25位のニュージーランドは、私の想像以上の可能性を示してくれた。

 明確になった課題は大きく3つだ。

 まずは走塁。捕手からの牽制(けんせい)球やトリックプレーに引っかかったりした。例えば1死一、三塁で二ゴロの場面。二塁手が一塁走者にタッチして併殺を取ろうとしたら、日本では少年野球のレベルでも、一塁走者はタッチを逃れ、一、二塁手に挟まれ、その間に三塁走者を生還させるプレーをする。これに対して、ニュージーランドでは簡単にタッチされ、併殺を完成させてしまっていた。まだ、選手全員にこうしたプレーが浸透していないように映った。

 残る2点は、守備力と投手の制球難克服だ。どれも、一筋縄ではいかないが、課題が浮き彫りになれば修正にも取り組めるめどが立つ。

 今回の代表は、米国のマイナーリーガーやオーストラリアでプレーする選手と、大学、高校生を中心に構成した。けが人を除けば、ベストメンバーだった。選手たちは大会後、本当に悔しそうだった。野球弱小国だからとか、ラグビー大国だからとか、関係なく、目の前の敗戦に心底、悔しい感情をあらわにした。

 「挑戦」にうれしい評価

 あとは、その悔しさをこれからの行動にどうやって生かし勝利に結びつけるかだ。

 例えば、試合前の練習にどれだけ本気で汗を流したか。会場は、ニュージーランドには一つもない野球専用の本格球場だ。そんな舞台での練習時間を一瞬たりとも無駄にしないように取り組んでいたか。私の目にはそうは映らなかった。チームの強化は小さな努力の積み重ねを実らせるしかない。だからこそ、こうした点の重要性を私は説いた。

 今大会には、若き日本代表「侍ジャパン」も出場していた。現地では、指揮する元阪神の平田勝男監督や元巨人の豊田清コーチらと顔を合わせた。台湾でプレーした経験のある元西武監督の渡辺久信氏も球場に足を運んでいた。2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本代表に選んでもらい、「世界一」になったときの監督でもある王貞治氏の姿もあった。

 皆さんから、口々に「新聞で見てるよ」「ニュージーランドはどう」と声をかけてもらい、激励された。

 中でも、社会人時代の大先輩で日本野球連盟副会長でもある鈴木義信氏からは「五輪やWBCで活躍した日本の元代表選手が海外で活動していることは本当にうれしい。日本としても積極的に交流していかなければならない」と、日本とニュージーランドの関係強化を検討していくと約束してもらえた。

 ニュージーランドでの挑戦を日本球界の人たちも関心を寄せてくれている。うれしさと同時に、改めて気持ちが引き締まった。(ニュージーランド野球連盟 清水直行/SANKEI EXPRESS

 ■しみず・なおゆき 1975年11月24日生まれ、39歳。京都市出身。東芝府中を経て、99年千葉ロッテ入団。2002年から5年連続2桁勝利を挙げるなどエースとして活躍し05年の日本一に貢献した。10年から横浜DeNA。通算105勝。アテネ五輪、第1回ワールド・ベースボール・クラシックで日本代表。今年からニュージーランド野球連盟のゼネラルマネジャー補佐兼代表統括コーチを務める。

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