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米当局 タカタに全米リコール命令 メーカー各社、批判に後手 部品共通化リスクも浮き彫り

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米当局 タカタに全米リコール命令 メーカー各社、批判に後手 部品共通化リスクも浮き彫り

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11月20日、首都ワシントンで開かれた米上院商業科学運輸委員会の公聴会に出席するタカタの清水博・品質保証本部シニアバイスプレジデント=2014年、米国(ロイター=共同)  日本の自動車部品メーカー、タカタ(東京)のエアバッグの大量リコール(回収・無償修理)問題で、米道路交通安全局(NHTSA)は26日、タカタに対して、高温多湿地域に限定されている運転席のエアバッグのリコールを全米に拡大するよう命じた。複数の米メディアが伝えた。

 NHTSAはタカタが12月2日までにリコールに応じない場合は、1台当たり7000ドルの罰金を科すための手続きに入るとしており、リコール実施を事実上強制した形。新たにリコール対象となる台数は数百万台規模とみられ、ホンダ、マツダ、フォード、クライスラー、BMWの5社に影響するとみられている。

 タカタはエアバッグが破裂しやすくなるフロリダ州、ハワイ州など高温多湿地域のみでのリコールが適当だとの立場をとってきた。しかしNHTSAは対象地域外のノースカロライナ州でもエアバッグの破裂事故があったとして、全米でのリコールを求めている。(ワシントン 小雲規生/SANKEI EXPRESS

 ≪メーカー各社、批判に後手 部品共通化リスクも浮き彫り≫

 タカタのエアバッグ欠陥問題がついに、全米に波及することになった。リコールの対象台数はすでに、世界で1312万台を超え、さらに膨らむ恐れがある。米国では早くから議会や消費者の批判が高まっていたが、タカタや自動車メーカーの対応は後手に回り、経営やブランドへのダメージが深刻化している。コスト削減を目的に進めてきた部品共通化のリスクも改めて浮き彫りになっている。

 目立った消極姿勢

 NHTSAによる全米リコール“命令”を受けて、タカタは27日、「内容を確認して対応を検討したい」とコメントしたのみ。

 これまで、米国でのリコールは原因が特定されたもののほかは、エアバッグが異常破裂する可能性がある高温多湿地域などに限定。タカタも自動車メーカーも全米規模でのリコールには消極的だった。

 一方で、タカタは工場のラインを増設。来年1月から交換部品の生産を月30万個から45万個に増やす方針を示している。

 それだけに、今回のNHTSAの措置は、タカタや自動車メーカーが想定しなかった「異例の事態」(自動車大手)になっている。

 そもそも、リコールは消費者と直接やりとりする自動車メーカーが不具合の原因特定などを行い、NHTSAなどの監督当局に届け出る。にもかかわらず、NHTSAがタカタへの強制措置に踏み切ったのは、米議会や消費者の批判が無視できないものになっているからだ。

 公聴会で不信に拍車

 自動車社会の米国ではこの問題への関心が高く、20日の公聴会では議員から「全米でリコールしないのは間違い」と厳しい意見が噴出。出席したタカタやホンダの幹部は説明に回ったが、“火消し”できなかった。さらに、NHTSAの要請を受けてホンダが行った調査で事故件数の報告漏れが明らかになり、不信に拍車をかけてしまった。

 すでに、タカタのリコール対策費用は昨年以降で約800億円に上っている。全米に拡大すれば「追加費用は1000億円程度になる可能性がある」(野村証券の新村進太郎クレジットアナリスト)とみられ、経営への打撃は計り知れない。

 今回の問題ではホンダがタカタと連名で訴訟を起こされるなど自動車メーカーの責任も追及されている。

 エアバッグのような安全装備は製造できる部品メーカーが限られ、自動車メーカーとしてもコストを下げるため、複数の車種で共通の部品を採用するケースが多い。だが、ひとたび欠陥が見つかれば莫大(ばくだい)なリコールになる恐れがある。今回の問題を受けて、自動車メーカーも品質管理やリスク分散などの対応を迫られそうだ。(田村龍彦/SANKEI EXPRESS

 ≪国内でも260万台超す≫

 タカタのエアバッグ欠陥問題で、トヨタ自動車とダイハツ工業は27日、新たに計約6万7000台のリコールを国土交通省に届けた。国交省の集計でリコール対象は、国内で約260万9000台にまで拡大した。国内での改修率は10月末時点で64%にとどまっている。

 国交省によると、リコールしたのは、トヨタが「ヴィッツ」など乗用車3車種、計4万337台(2002年12月~04年3月生産)、ダイハツが軽自動車「ミラ」2万7571台(02年12月~03年5月生産)。いずれも製造時の管理が不適切で、エアバッグを膨らませるガス発生剤に湿気を帯びたものがあり、気温が高いと膨張する。衝突時に異常な勢いでガスが発生し、金属製容器が破裂する恐れがある。事故やトラブルの報告はない。

 トヨタは欧州など海外でも約1万6000台を販売しており、各国の法令に従って対処する。

 マレーシアで7月、ホンダ車のエアバッグが破裂、運転していた女性が死亡する事故があり、ホンダが今月13日、同型エアバッグ搭載の約7万台をリコール。国交省は他のメーカーに調査を指示し、今回のトヨタとダイハツのリコール車種も同型エアバッグだった。

 タカタのエアバッグをめぐっては、08年11月以降、ホンダや日産自動車など各社がリコール。トヨタは今回が4回目で、ダイハツは初めて。(SANKEI EXPRESS

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