ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
経済
【エコノナビ】国民が元気になる「治療法」を
更新
公示前の選挙ポスター掲示場=11月30日(蔵賢斗撮影) 「葛根湯医者」という落語の小話がある。患者がどんな症状を訴えても葛根湯を処方する医者の話でやぶ医者を揶揄(やゆ)したものだ。
だが葛根湯は風邪だけでなく歯痛、腹痛、肩こり、筋肉痛など多様な病気に効く。とすれば、葛根湯医者は理にかなった見立てをする医者といえなくはない。
2日に公示された衆院選は安倍晋三首相が掲げた経済政策「アベノミクス」への賛否が主要な争点とされる。アベノミクスが葛根湯のようなら多くの支持が得られるはずだが、世論調査の結果などをみると効き目に疑問符を付ける国民が少なくない。
与党はアベノミクスの成果を強調しているが、異次元の金融緩和という第1の矢でもたらされた円安の副作用が予想以上に大きくなってしまったことは事実だ。第2の矢の財政政策も国全体の需給ギャップが縮小しているため効果は小さい。第3の矢の成長戦略はようやく調合方針が決まった段階だ。
一方、野党もそれぞれの処方箋を掲げているが、民主党の「厚く豊かな中間層の復活」という前政権の座にあったときと同じ効能書きに疑問を抱く向きも多いだろう。
東洋医学で治療方針を決めることを「治則」という。その治則の第一原則は「治病求本」。表の症状である「標」にとらわれるのではなく、根本的な病因である「本」の治療こそが重要という意味で、本が治れば標も自然に治るとされる。
デフレからの脱却を最優先としたアベノミクスの金融政策は「急なれば標を治す」というもう一つの治則原則に基づく対症療法という言い分もあろうが、症状が落ち着いたらすぐに本治に移るのが基本である。
では現状の本とはなんだろう。維新の党は「金融緩和のみに頼っても国民の生活を守れない」と徹底した規制改革を主張するが、根っこの本は国中に蔓延(まんえん)している「弱気」ではないか。
せっかくの総選挙なのだから、アベノミクスの成長戦略の調合法も含め、国民が元気になる具体的治療法を本気で論じてほしい。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)