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賞金目当て コヨーテ猟「NO」 米加州、残虐批判受け決定 牧場主は反発

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賞金目当て コヨーテ猟「NO」 米加州、残虐批判受け決定 牧場主は反発

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米カリフォルニア州で賞を懸ける形での狩猟が禁じられたコヨーテ=2014年12月2日(AP)  米カリフォルニア州で、賞付きのコヨーテ猟の禁止が決まった。米メディアによると、コヨーテ猟が禁じられるのは全米で初めて。ただ絶滅危惧種どころか、逆に個体数が増え続けているコヨーテを保護することに、家畜被害を食い止めようとコンテストを主催してきた牧場主などは反発。禁止措置にも大きな“穴”があり、実効性が疑問視されている。

 証拠に耳や尻尾、抗議2万件

 AP通信などによると、この方針は全米でコヨーテの保護活動を続ける「プロジェクト・コヨーテ」の責任者、カミラ・フォックス氏らが、州内で毎月のように開催されているコヨーテの狩猟コンテストを禁止するよう請願していたことを受け、州漁業狩猟委員会が決定した。

 特に問題となったのが州北東の町エイディンで毎年2月に開かれているコンテストの「コヨーテ・ドライブ」。2013年には約240人が参加し、42頭のコヨーテが犠牲になった。参加者は獲物を仕留めた証拠としてコヨーテの両耳や尻尾、足などを見せる必要があり、このコンテストが国内メディアの注目を集めると、6000人以上が反対署名を州漁業狩猟委員会に提出。8回目となる今年2月のコンテスト1週間前には委員会が可能な禁止措置に乗り出す方針を示したものの、コンテストが強行され、手紙や電話による抗議は2万件を超えた。

 12月に行われた州漁業狩猟委員会の投票は賛成4、反対1の圧倒的多数でコンテストの禁止を決定。請願を出していたフォックス氏は「不道徳で非難されるべきこうした残虐な狩猟が禁止に追い込まれたことは、カリフォルニアの歴史に新たな1ページを刻む出来事になった」と今回の決定を評価した。

 個体数増加の指摘も

 ただ、決定内容には大きな欠陥がある。禁止されるのは賞金や賞品を懸けたコンテストだけ。賞が出なければ、ハンターは1年中、無制限にコヨーテを狩ることができる。州漁業狩猟委員会のジャック・ベイリス副委員長も「州は狩猟者に対し、捕獲してよい捕食動物の数をいずれ制限して決める必要がある」と語る。

 それでも、今回の決定に牛やニワトリを飼育する牧場主らは猛反発している。米農務省の最新の統計によると、10年のカリフォルニア州での野生動物による牧牛被害は400万ドル(約4億7200万円)以上。襲撃回数が最多なのは「カリフォルニアではそこら中で見かけることができる」(地元狩猟協会幹部)というコヨーテだ。

 ここ数年にわたってコヨーテの狩猟コンテストが増加してきた背景には、こうした被害の拡大があるとされ、牧場主が主催者となって最も多くのコヨーテを仕留めたハンターに現金やベルトの留め金、狩猟用品などを賞品として贈るイベントがカリフォルニアや近隣の州で定着してきた。

 環境団体側は、コヨーテが自然界でネズミなどの害獣や動物の死体を処理する重要な役割を担っているとして保護の必要性を訴える。ただ、カリフォルニア州魚類野生生物局の科学者、スコット・ガードナー氏はコヨーテは絶滅の危機にはなく、逆に個体数は増加していると指摘しており、データ上は保護の動きが広がりづらい環境にある。

 絶滅危惧種への誤射防止

 こうした背景もあって、ハンター側は今回の規制を意に介する気配がない。過去のコンテストでコヨーテ14頭を仕留め、賞を獲得した経験を持つハンターのカーチス・ライト氏は牧場主から無料でコヨーテ狩りを請け負う意向を示し、「カネや賞のためではなく、他のハンターと野原で友好的に狩猟数を競い合うのが目的。コヨーテの干し肉をつくるために猟に出る」とうそぶく。

 ただ、コヨーテ猟の禁止を求める声が上がった背景には、ハンターが誤ってコヨーテと姿が似ている絶滅危惧種のハイイロオオカミを撃ち殺してしまう事態を避ける狙いもあった。衛星利用測位システム(GPS)を付けたハイイロオオカミがここ3年にわたり、オレゴン州から北カリフォルニアに越境してきていることが分かっており、実効性ある禁止措置が州側に求められることは論をまたない。(SANKEI EXPRESS

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