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【USA! USA!】(9)オレゴン州ポートランド 起業家を心豊かな生活
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アウトドアグッズを販売するキーン本社に隣接したフラッグシップストアには、リサイクル品を使用したアイデアが満載。シューズが並んだデスクはボーリングのレーンで、靴の試着用に置かれた椅子はドラム缶を再利用したもの。会計カウンターの頭上にはカラフルな道路標識が並ぶ=2014年10月20日、米オレゴン州ポートランド(緑川真実さん撮影) ニューヨークの片隅で生きる若者たちの「いま」を描いて高く評価され今秋、日本でも公開された米映画「フランシス・ハ」には、ポートランドに移住する友人のエピソードが紹介されている。開放的で居心地の良い街として多くのメディアが特集を組み、全米のみならず、世界中から注目を集めるポートランドの魅力とはなんだろうか。
30分程度でダウンタウンの端から端まで歩ける小さい街。郊外にはオレゴン州の自然が広がる。都市開発をする範囲を境界線内に制限した、自然と共存しつつ環境に優しいコンパクトシティーには、街造りのヒントを得るために世界中から見学者が訪れる。公共交通機関が充実、自転車利用者が際立って多い。
「心豊かな生活に憧れてきて、まずはコーヒーショップなどでアルバイトをする。ただ大企業は少ないので次の就職先がない。なので、アントレプレナー(起業家)になる若者が多い。さまざまな文化を受け入れる土壌があり、お互いに助け合ってるよ」と市観光局のジェフ・ハマリーさんは分析する。
そんな若者たち「御用達」のアウトドアショップの一つ、「KEEN」が市内中心部に持つ旗艦店は、ボウリング場の床など廃材を使った、おしゃれ感が満載のインテリア。住民に若い世代が多いため、子供用品も豊富にそろう。スタッフのキャリー・ビーヘイさん(28)はペンシルベニア州出身。「もともとKEENのファン。ポートランドに憧れて移ってきたのよ」と話してくれた。
≪風変わりでDIY 希望の街の気風≫
“QUIRKY(風変わり)”で、“DIY(Do It Yourself=自分で作る)”。ポートランドを形容する言葉のひとつだ。移住してきたアントレプレナーたちは、柔軟なアイデアでビジネスを立ち上げ、成功させてきた。これらの言葉には、そんな気風が込められている。
プリント工房のエッグ・プレスは、手作り感満載のグリーティング・カードが人気となり、日本ほか国外にも商品を輸出するまで成長した。インターネット社会で、手紙を書くことは減ったが、クリスマスなどの記念日には、親しい人に手書きのカードを贈りたいという需要が伸びている。
創業したのはワシントン州出身のテス・ダーロウさん(44)、オレゴン州に本部のあるスポーツ用品メーカー、ナイキのデザイナーだった。現在はデザイン担当のキャラ・ヤナガワさん(41)と女性2人で会社を支えてきた。
印刷機は1950~60年代に使われた中古品を活用しており、手作業で紙を差し込みながら印刷する。「ある工場で捨てられかけていたのをタダで譲ってもらったの。メンテナンスは大変。でも味のあるハンドメード感が出るのよ」とテスさん。「デザインは私がマック(コンピューター)でやっているわ」とキャラさん。新旧の技術を一緒に走らせ、独特の味わいを生み出す。
20~30代の若いスタッフが多い職場は居心地のいい雰囲気が漂う。「みんなが余裕を持って働けるよう、互いに助け合っています」とキャラさん。テスさん自身は7歳と10歳の2人の男の子の母親で、勤務は週4日に抑えている。「もっと働きたいけれど、仕事より家庭の方が大切。私がこうした生活をしていても、ビジネスを滞らせないようにしたいの」とほほ笑んだ。
カリフォルニア州サンディエゴから移ってきたスカイ・ボウヤーさん(39)が2006年に開いた店「ベロ・カルト」は自転車ショップ兼カフェ兼バー。「いろんな人が集まる情報発信基地にしたい」。昼は子供向けにハロウィーン用のカボチャ細工の講習会、夜はライブを開くなどイベントも盛りだくさんだ。
店には東京から来た男性が部品を組み立てて持ち込んだ、オリジナルの中古自転車が売られていた。「彼はポートランドに移住したいそう。頑張ってほしいね」
行けば何かがある。ポートランドは未来を模索する若者の「希望の街」でもある。(文:藤沢志穂子/撮影:フリーカメラマン 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS)
ポートランドへはデルタ航空の直行便で成田空港から約9時間。成田を夕方にたって同じ日の朝にポートランドに到着する。デルタ航空では、ビジネスクラス「ビジネスエリート」に完全に水平になるフルフラットベッドシートを導入。全座席が通路に面しており、隣を気にせずにプライベートな空間でリラックスできる。
エコノミークラスを含む全席に完備された最新のオンデマンド型エンターテインメントシステムでは、最新のハリウッド映画から往年の名作、テレビドラマ、ゲームなどを楽しめ、充実したフライトを過ごすことができる。
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