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【アギーレ監督告発】スペイン検察 八百長関与疑い 進退発展は不可避 イメージ低下

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【アギーレ監督告発】スペイン検察 八百長関与疑い 進退発展は不可避 イメージ低下

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日本-ブラジル戦で采配をふるう日本代表のハビエル・アギ-レ監督。スペインリーグ時代の試合で八百長疑惑がかけられている=2014年10月14日、シンガポール(川口良介撮影)  スペインの検察当局は15日、サッカー日本代表のハビエル・アギーレ監督(56)が2011年のスペイン1部リーグの試合で八百長に関与した疑いがあるとして告発した。バレンシア裁判所が告発を受理すれば、捜査が始まる。

 日本サッカー協会は16日、大仁邦弥(だいに・くにや)会長ら幹部が対応を協議した。西沢和剛コミュニケーション部長は「本格的な捜査が始まると思うので、進捗状況を見守る。協会としても独自の情報収集に着手する」と今後の方針を述べた。弁護士らと連携し、出頭の時期など今後の見通しについて情報を集める。日本協会の調査によると、起訴されれば3、4年程度の手続きが必要なケースもあり、有罪となれば、現地報道によると禁錮6月から4年になるという。

 八百長疑惑の試合は11年5月21日の最終節。アギーレ監督が当時率いていたサラゴサ(現2部)がレバンテを2-1で下して残留を決めた。サラゴサ幹部、両チームの選手ら41人が関与を疑われており、サラゴサ側が用意した合計96万5000ユーロ(約1億4000万円)がアギーレ監督らの銀行口座を経て、最終的にレバンテの選手らに支払われたとされる。

 スペインの全国紙パイスが入手した告発状には、サラゴサの会長をはじめ首脳と監督、選手が試合結果を操作することで合意していたとの記述がある。

 アギーレ監督は来年1月のアジア・カップ(オーストラリア)に備えて日本に滞在しており、29日から合宿が始まる予定。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪進退発展は不可避 イメージ低下≫

 サッカー日本代表のハビエル・アギーレ監督がスペイン1部リーグ時代の八百長疑惑で告発された。ワールドカップ(W杯)ブラジル大会後に、日本代表の再建を託された指揮官が捜査対象となる前代未聞の事態に困惑が広がる。就任後初の公式大会となる来年1月のアジア・カップ(オーストラリア)を前に進退問題への発展は避けられないとの見方が出ている。

 「子供の夢・希望」

 スペインの司法制度では告発を裁判所が受理してから本格的に捜査が始まるため、現時点で監督の立場はあくまで「灰色」。それでも、この状況が続けば日本サッカー全体のイメージ低下は必至で、日本サッカー協会副会長でもある村井満Jリーグチェアマンは「こういう問題には敏感だ。代表チームは子供の夢、希望そのものだから」と懸念を示した。

 日本代表は協会に年間約55億円もの協賛金などの収入をもたらす「看板」。スポンサーに近い関係者は「ここまで手を打たないのはどうか。疑惑をかけられている時点で何か手を打たないといけなかった」と協会の対応の遅さを指摘した。J1クラブの社長からも「(監督は)もうもたないだろう」との声が漏れた。

 免れた降格

 スペイン検察当局が告発した事件の構図はこうだ。2010~11年シーズンの5月21日の最終節は、2部に降格する残り1枠をめぐり、13~18位の6クラブが勝ち点2差の間にひしめいていた。アギーレ監督が率いていたサラゴサは降格圏の18位に沈み、12位で既に残留が確定したレバンテとのアウェー戦を残していた。

 サラゴサのイグレシアス会長ら幹部とアギーレ監督、選手は試合の結果を操作することで合意し、レバンテの選手に支払う96万5000ユーロ(約1億4000万円)を用立てた。一度は「ボーナス」と見せかけてサラゴサの選手らの口座に振り込み、そこで「現金化」して相手選手に渡るようにした。

 アギーレ監督の口座には5万ユーロと3万5000ユーロが振り込まれ、19日に5万ユーロ、20日には3万5000ユーロを引き出した形跡が確認された。試合は2点を先行したサラゴサが「予定通り」に2-1で逃げ切り、14位に浮上して降格を免れた。

 身体検査に甘さ?

 アギーレ監督は疑惑を強く否定する。監督や選手の契約に詳しい代理人は「(不法行為など)明確に落ち度がある場合は解除できる条項が一般的に入っている。しかし、監督がやっていないと言っている現状では難しいのでは」と、現段階での解任に慎重にならざるを得ない協会の事情を説明した。

 長期化した4年前の代表監督選びの反省を踏まえ、W杯ブラジル大会後はアギーレ監督に早々と候補を一本化した。惨敗の総括もない段階での選定には拙速の批判もあり、監督への「身体検査」が甘かったとの指摘は免れない。アギーレ監督招聘(しょうへい)の交渉役となった原博実専務理事と霜田正浩強化担当技術委員長の責任論も浮上しかねず、代表の強化体制が揺らぐ可能性すらある。(SANKEI EXPRESS

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