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訪日外国人 年間1300万人確実 旺盛な消費 日本経済を下支え

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訪日外国人 年間1300万人確実 旺盛な消費 日本経済を下支え

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訪日外国人観光客の「おもてなし」には子供たちの協力も必要になりそう=2014年10月28日、東京都台東区浅草(提供写真)  日本政府観光局は17日、1~11月累計の訪日外国人客数が前年同期比28.2%増の1217万7500人(推計値)だったと発表した。11月単月も22カ月連続で前年実績を上回った上、9カ月連続の100万人超え。円安に加え、10月からスタートした訪日客向けの免税制度拡充が追い風となっており、2014年の1年間では1300万人を超えることが確実な情勢だ。

 観光庁の久保成人(しげと)長官は17日の記者会見で「昨年時点で予想していなかった数字。円高の是正、免税制度、受け入れ態勢の強化など歯車がかみ合った結果だ」と振り返った。週明けには年間の訪日客が1300万人に到達する見通し。

 国・地域別の1~11月の累計は、台湾が前年同期比27.0%増の261万7700人で首位。次いで韓国が9.3%増の248万4400人。3位は中国で、82.2%増の221万9300人と大幅に伸びた。

 一方、11月単月の訪日客数は前年同月比39.1%増の116万8500人(推計値)。免税制度が拡充された10月に続き、大きな伸びを示した。国別では中国が倍増したほか、韓国が39.8%増、台湾が32.9%増となった。

 ≪旺盛な消費 日本経済を下支え≫

 訪日外国人急増の恩恵は、小売りはもちろん、ホテルや旅行、航空、鉄道など多様な業界にわたっている。訪日客の活発な消費は今や、日本経済を下支えしている形だ。

 客室単価アップ

 プリンスホテルが運営する都心部のホテルは外国人比率や客室単価が軒並み上昇。「ザ・プリンス パークタワー東京」(港区)では11月の外国人比率が34%に上った。都内では外国人客を受け入れる新規のホテル開業も相次ぎ、12月以降に開業する都内のホテルの客室数が1万室に上る、との調査もある。

 航空や鉄道各社の年末年始の予約状況でも、訪日客増加の効果は顕著だ。航空各社の19日~来年1月4日の国際線の予約状況は羽田空港の増枠効果などもあり、全日本空輸が前年同期比22%増、日本航空が10%増。とりわけ外国人旅行者の利用が多い「海外発」は全日空が42%増、日航が12%増となった。「訪日客の需要は非常に旺盛だ」(全日空)という。

 JR旅客6社の予約数(26日~1月4日)も、新幹線・在来線の指定席で353万席が埋まり、前年同期比で3%増えた。

 旅行業界でも、JTBが訪日客向けに販売する個人旅行「サンライズツアー」の予約(人員ベース)が12月60%増、1月87%増となるなどまさに絶好調だ。

 免税制度の拡充以降、小売業界も大きな恩恵を受けている。百貨店各社の都心や関西の大型店では「訪日客は10月以降、爆発的に増えている」(高島屋の木本茂社長)。各社は訪日客の囲い込みを狙い、空港までの商品配達や高級ラウンジの新設など、さまざまなサービス拡充を図る。

 地方への誘客課題

 観光庁の訪日外国人消費動向調査では、今年1~9月の国内消費額は1兆4677億円となり、早くも昨年1年間の消費額を超えた。五輪イヤーの2020年に向け、政府は訪日客2000万人という目標を掲げる。目標達成なら、「13年比で国内総生産(GDP)が0.4%押し上げられる」とするみずほ総研の試算もある。

 だが、現時点では課題も多い。とりわけ地方への誘客拡大は難題だ。現状で訪日客の旅行先は東京、大阪、京都などを周遊する「ゴールデンルート」に集中しており、観光庁の久保成人長官も17日の記者会見で「情報提供などが十分でなく、今後充実させていきたい」と述べた。(田端素央/SANKEI EXPRESS

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