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見て触って乗って 歴史おさらい 「探検! 体験! 江戸東京」
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江戸開府(1603年)頃から昭和中期(1950年代)までの江戸、東京の歴史を子供にも分かりやすく紹介する特別展「探検! 体験! 江戸東京」が、江戸東京博物館(東京都墨田区)で開かれている。家族連れで、教科書にも出てくるような身近な史料を見たり、体験したりしながら、日本史をおさらいするのも楽しい。
34万点にも及ぶコレクションをもつ江戸東京博物館。常設展では数千点を展示して、少しずつ展示替えをしているが、1回の入場ではなかなか消化しきれないだけのボリュームがある。
今回の展示物は約320点とコンパクト。遠山の金さん、樋口一葉(イラスト)の2人が案内役で、極力、難しい言葉を使わないで解説している。
大きな2本の柱は、将軍の都・江戸と天皇の都(帝都)・東京の歴史を学んでもらうことと、庶民の暮らしや先人の知恵を知ってもらうこと。
例えば武士の決まり事「武家諸法度」や、上水道や消防組織の史料、「越後屋呉服店」「両国の花火」「歌舞伎」を描いた浮世絵、オランダからもたらされた医学を書き表した「解体新書」など教科書でもなじみのある史料を展示して、100万人都市・江戸の歴史を紹介。
また帝都については、にぎわった明治時代の銀座通りの絵、大正~昭和初期のモガ・モボ(モダンガール、モダンボーイ)の風俗やファッションをポスターなどで紹介。関東大震災(1923年)の様子を描いた絵や東京大空襲(45年)で焼けた服などの展示で、災害や戦火を乗り越えた東京の姿を伝えている。
ちょっと横道にそれた「コラム展示」も面白い。「すごいぞ、ニッポンの知恵-和紙のチカラ」では、ユネスコの無形文化遺産に登録された和紙の優秀さを紹介。紙と布を合わせて作った紙布(しふ)の裃(かみしも)や雨具を展示しており、江戸時代ではさまざまな用途に使われ、リサイクルされていた紙の文化が学べる。
コラム展示の「江戸東京レアグッズ」では、大東京名物「空気の缶詰」(1968年)が登場。大気汚染が進んだころで、風刺が利いている。
また、江戸時代後期(寛政~文化年間)に、患者が嘔吐したものを2点“珍品”として展示している。大学で成分を調べた結果、1つはコレステロール、もう1つは鉱物だった。1つは胆石、もう1つは薬として飲んだ鉱物だった可能性があるという。
さらに、江戸東京を体験するコーナーもある。乗り物は、大名の駕籠(かご)、人力車、リンタク、だるま自転車。また実際に小判が入った重さ(約14キロ)の千両箱を持ち上げたり、肥えおけをかついだりする体験もできる。
江戸東京博物館は、開館から20年がたち、3月28日にリニューアルオープンする。その間、常設展示室は休みとなるが、江戸東京博物館では「常設展示のエッセンスを集め、子供にも大人にも分かりやすく解説している。ぜひ家族で楽しんでほしい」(落合則子学芸員)と話している。(原圭介/SANKEI EXPRESS)