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豪州も「日サロ」禁止、世界的潮流に 「皮膚がんの原因」と判断

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豪州も「日サロ」禁止、世界的潮流に 「皮膚がんの原因」と判断

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米カリフォルニアの日焼けサロンで体を焼く男性。日焼けマシンの商業利用を禁止する動きが世界的に広がっている(ゲッティ=共同)  オーストラリアの大半の地域で、人工的に紫外線を当て肌を小麦色にする「日焼けマシン」の商業利用が今月1日から禁止された。豪州は皮膚がんの発症率が世界最悪の水準にあり、屋外で浴びる天然の紫外線に加え、日焼けマシンもその原因と判断したためだ。すでにブラジルが全面商用禁止に踏み切っているほか、米国の約30州と欧州のイギリス、フランス、スペインなど11カ国が禁止もしくは年齢制限を導入しており、規制が世界的な潮流となりつつある。日本でも「日焼けサロン」は若者や芸能人らに根強い人気があるが、健康に及ぼす影響について関心が高まりそうだ。

 3人に2人が発症

 「日焼けマシンは極めて高レベルの紫外線を放射し皮膚がんの発症リスクを著しく高める」

 豪州がん評議会で使用禁止を提唱してきたポール・グローガン氏は声明で、今回の措置を高く評価した。評議会によると、豪州では70歳までに3人に2人が皮膚がんを発症しており、発症率は英米の2~3倍の高水準にあるという。

 現地紙シドニー・モーニング・ヘラルド(SMH、電子版)によると、今回禁止されるのは全6州のうち最大都市シドニーがあるニューサウスウェールズやクイーンズランドなど5州とキャンベラの首都特別地域。日焼けマシンの有料サービスを行った事業者には、最大4万4000豪州ドル(約425万円)の罰金が科される。禁止されていないのは、高温多湿のノーザンテリトリーだけ。

 豪州の上空は紫外線を吸収する大気圏のオゾン層が薄いため、他地域よりも紫外線が強く皮膚がんの発症リスクが高い。専門家が国民に外出時にはサングラスと帽子を、海で泳ぐときも長袖シャツを着用するよう強く推奨するほどだ。

 「多くの友人の命奪った」

 天然の紫外線に加え、日焼けマシンも問題視された。豪州では1990~2000年代に若者の間でブームになったが、その結果、発症リスクも高まったという。ニューサウスウェールズ州がん評議会の調査では、35歳までに日焼けマシンを使った人は、使わなかった人より発症率が59%も高くなった。州内では毎年、少なくとも10人が日焼けマシンで皮膚がんになり、死亡しているとしている。

 このため、豪州では日焼けマシンを使う人が徐々に減少。成人を対象にした調査では、使用率が10年前の2.2%から最近は1.2%まで低下。さらに昨年11月に発表された別の調査でも、過去1年間に使用した人は1%未満となり、76%の人が使用禁止を支持した。

 日焼けしたように見える化粧スプレーも普及しており、豪州がん評議会では、その使用を勧めている。

 「この恐ろしいマシンが多くの友人の命を奪った」。豪州メラノーマ(皮膚がん)研究所の専門家、ジェイ・アレン氏はSMHに、日焼けマシンの危険性を訴えた。

 ブラジル、米・欧でも

 それでも、使いたい人はいるようで、シドニー近郊のボンダイビーチで日焼けスプレーを販売しているマギー・ベドロシアンさんはSMHに「この2週間で日焼けマシンを探しているという電話を20回も受けた」と明かした。

 日焼けマシンの商用禁止は、ブラジルが03年に世界で初めて未成年を対象に実施し、09年には全国民に拡大。米国や欧州でも未成年者の使用禁止が一般的となりつつあり、日本でも議論を呼びそうだ。(SANKEI EXPRESS

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