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希少金属の宝庫?小惑星接近 26日、地球から120万キロ「衝突危険ない」

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希少金属の宝庫?小惑星接近 26日、地球から120万キロ「衝突危険ない」

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地球に接近する小惑星のイメージ(Alamy)  衝突すれば地球に甚大な被害をもたらす小惑星が26日、地球に最接近することが19日までに明らかになった。この小惑星は大きさが500メートルで、2013年2月、ロシア南部チェリャビンスク州周辺に落下し、甚大な被害をもたらした隕石(いんせき)の約30倍の大きさにあたる。衝突すれば間違いなく地球に大きな影響を与えるはずだが、米航空宇宙局(NASA)によると、衝突の危険性はないという。NASAでは、アマチュアの天文学研究家らに「壮大な宇宙ショーを小型望遠鏡などで楽しんでほしい」と呼びかけている。

 月までの距離の3.1倍

 1月13日付のNASAのジェット推進研究所の公式サイトや1月18日付英紙デーリー・テレグラフ(電子版)などによると、問題の小惑星は「2004 BL86」。NASAと米空軍などによる共同プロジェクト「リンカーン地球近傍小惑星探査」でニューメキシコ州ホワイトサンズに設置した電波望遠鏡が2004年1月30日に発見した。このプロジェクトは地球近くの小惑星の発見・追跡を目的に1970年代後半から続いており、98年以降の小惑星のほとんどがこのプロジェクトで発見されている。

 この小惑星は、米東部時間26日の午後2時半(日本時間27日午前4時半)から、ネットでも視聴可能。時速5万6300キロで地球から120万キロメートルの地点を通過するという。この距離は地球から月までの距離の約3.1倍で相当遠いように思えるが、天文学的な視点でみると、地球と極めて近い距離を通過する小惑星となる。

 2013年にロシア南部チェリャビンスク州周辺に隕石が落下した際には、隕石が超音速で大気を通過する途中で分裂して大きな衝撃波を生み出したため、約7200棟の建物が破損し、約1500人が割れた建物のガラス片などでけがをした。その30倍の大きさがある「2004 BL86」がもしも地球に衝突すれば、チェリャビンスク州周辺の被害とは比較にならない深刻な被害が想定される。

 チャンス「今後200年間ない」

 しかしNASAのジェット推進研究所でこのプロジェクトを主導してきたドン・ヨーマン氏は「今回の接近は地球にとって脅威にはならない。むしろ、比較的大きな小惑星がかなり近い距離に接近するため、われわれが多くのことを学ぶ貴重な機会となる」と衝突の可能性を否定した上で、「小惑星は特別な存在だ。地球や生命の起源に迫る調査だけでなく、希少金属など資源が豊富で太陽系の探査など人類の将来につながる発見も期待できる」と小惑星研究の意義を述べた。

 英グリニッジ天文台の天文学者、エドワード・ブルーマー博士は英テレグラフ紙に「26日の日暮れ時、太陽が水平線に沈む頃が小惑星を観察する絶好のチャンスです」とアドバイス。これほど接近する小惑星を観察できるチャンスは、今後200年間は訪れないという。(SANKEI EXPRESS

 ■小惑星 太陽系の天体のうち、惑星よりも小さな天体を指す。小惑星のうち、太陽の影響などで物質を拡散しているものを彗星と呼ぶ。小惑星のほとんどは木星軌道と火星軌道の間に存在するが、火星の内側に入り込んで地球に接近したり、隕石として地球に落下するものもある。日本の探査機「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」から岩石の微粒子サンプルを持ち帰った。昨年11月には欧州宇宙機関(ESA)の彗星着陸機「フィラエ」がチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸し、ドリルで表面を掘ってデータを届けることに成功した。

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