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デビュー作にして最後の気合 The Cheserasera
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3人組のロックバンド、ザ・ケセラセラ=2014年11月14日(提供写真) The Cheseraseraは、ボーカル&ギターの宍戸翼を中心とした3人組のロックバンドで、2009年に始動、14年6月にメジャーデビューした。切に訴えかけるように、そして時に振り絞るように歌い上げる宍戸のボーカルと骨太なサウンドに加え、流麗なメロディーを併せ持つのが特徴だ。
リリースされたばかりのフルアルバム「WHATEVER WILL BE,WILL BE」について宍戸に話を聞くと、「ファーストフルアルバムではあるのですが、意識的にはこの作品が最後のつもりで気合を入れていました。移り変わりの早い音楽シーンに、ちゃんと爪痕が残せるように、自分たちの特徴を決定的なものにしないといけない、と考えながら作りました」と、強い気持ちで取り組んだことを明かしてくれた。
その取り組みを実現させる過程には苦労が多かったという。3人だけでバンドをやっていた時代に培ってきた音楽が、事務所やレコード会社など関わる人が増えると、バンドの表現に対する考え方や捉え方もさまざまになってきて、それが最初は軋轢(あつれき)のように感じられたという。
「曲の間奏一つとっても、『長くない?』とか、歌詞も『意味が分からない』と言われると、いちいちむっとしてたんです(笑)。でも、自分が伝わりやすいと思っていたことが、案外伝わりづらかったのだな、ということを学びました」
そんな宍戸にとって、表現の原点は「『正義は一つではない』という昔からの自分の価値観」だという。「世の中の一般的な評価や生き方になじめず、愚痴や叫びのはけ口として作曲していたのですが、人に聴いてもらえるようになると、いつのまにか聴いてもらう人が心の中に抱いているものを曲や歌詞で言い当てられたらいいな、と思うようになりました」と語った。そのための試行錯誤が今のバンドの表現につながっているという。
「ケセラセラは『なるようになる』という意味ですが、どうにもならない絶望的な時にこそ、それでも何とかなるという希望を持てる、そういう解釈の仕方がいいなと思ってるんです」と教えてくれた。
「アルバム収録曲をライブで演奏をすると、今までより音楽を深く表現できるような手応えがある」と自ら評するライブパフォーマンスも必見だ。一人の愚痴や叫びから始まった音楽は、多くの人の心を揺さぶるものへと進化を遂げた。(音楽ひ評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)