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4人でせめぎ合って作った1stアルバム ヒトリエ
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4人組のロックバンド、ヒトリエ=2014年10月2日(提供写真) 今年初めに初音源を一聴した時から気になる存在だった。スピード感のあるアグレッシブなビート、ユニークなギターリフ、切なさを帯びるのに熱を持ったハイトーンなボーカル。そして顔を出さないミステリアスなジャケット写真。私は後で知ったのだが、ボーカル&ギターのwowakaは音声合成ソフトのボーカロイドを使って楽曲を発表していることでもネットを中心に話題だったという。
4人組のロックバンドとしてのヒトリエは、そのライブの熱量も特筆すべき要素である。ワンマンライブではメンバーも衣装の色が変わるくらい汗をかき、さながらスポーツか格闘技という激しい動きでエネルギッシュにパフォーマンスをする。4人の高い熱量が一体になった爆発力のあるステージは、音源を聴いた時以上の衝撃だった。
今年に入ってからシングル、7曲入りのアルバムがリリースされ、さらに11月26日には1stフルアルバム「WONDER and WONDER」がリリースになった。その制作は「大変だった」とwowakaは振り返る。
「テーマに沿ってアルバムを作り始めましたが、曲が作れなくなって制作が滞ってしまい、バンドで話し合いを設けました」。途中で制作方法を変更し、バンドメンバー全員で制作に取り組むことにした。その結果、バンドとしてのまとまりのある作品につながったという。
「4人の主張がせめぎ合って爆発するのが僕らの考える一番すてきなバンドの形です」とwowakaが語るように、2012年に現メンバーが集まって活動がスタートしたときにイメージしていたのは、バンドの中核でソングライターのwowakaだけでなく、4人それぞれがせめぎ合うような音だった。音の数ではなく、質量、音の広がりとしてのパワーや勢いを感じさせる内容は、決して音を細工して仕上がるものではあるまい。
ライブパフォーマンスについて、「お客さんと興奮を共有する、いろいろ考える前に体で体感する本能的な喜びがあります」と力をこめたwowaka。1stアルバムで目指したものを聞くと、「手段として手に入れた手応えと4人の持ち札を使って、コンセプトに沿った作品を作り上げること。洗練すること。熱量を共有する経験を、その質も量も上げていくこと」と答えた。こうした苦労の末、バンドメンバー全員でネクストステップの音を鳴らすことができた。ぜひその迫力ある音を体感してほしい。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)