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メジャーデビューでもスタンス不変 在日ファンク
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2007年に結成された7人組ファンクバンド、「在日ファンク」=2012年2月18日(提供写真) 今や俳優としても活躍中の星野源とともに、ユニークなインストゥルメンタルバンド、SAKEROCKのトロンボーン奏者であるハマケンこと、浜野謙太を中心に2007年に結成されたのが7人組の「在日ファンク」である。
一度聴いたら忘れられないユニークな名前だが、そもそもファンクバンド、という存在も今の音楽シーンではなかなか目にしないだろう。手練のベテランミュージシャンというわけではなく、あくまで今の若い世代のミュージシャンを集めて結成されている。楽曲の特徴、そして浜野のステージパフォーマンスの動きは往年のジェイムス・ブラウンを思い起こさせる。
光沢のあるスーツを着込み、細かい足のステップを踏みながら高らかにシャウトをする姿は、分かる人にはもちろん伝わるが、イベントライブなどで他のアーティストを見に来ていたお客さんは度肝を抜かれ、ステージにくぎ付けになるはずだ。さらに歌詞と曲のテーマもユニークで、かつては「ダンボール肉まん」なる曲も存在している。前述の星野源同様、浜野も現在テレビ出演、メーンキャストとしての映画出演など、俳優としてのキャリアも目を見張るものがあるが、それとは一線を画すバンド活動でも、新作アルバムでメジャーデビューを果たした。
今までも、多忙なスケジュールを縫って比較的コンスタントに作品をリリースし、ツアーやイベントライブなどで積極的にステージに上がり、自主企画で行うライブの動員数も伸びてきた。彼らのような個性的なバンドは、自由がきくインディーズでの活動を好む印象があるが、あえて「メジャー」という場所に自らの存在を置くことで、その存在を明るく、大きいところへ向かわせたいという意思を感じる。
このユニークなバンドが、メジャーでやれるんだ!という決意表明。一方で変わらないスタンスを貫こうとする姿勢は、アルバムが初期の頃と同じく、ほぼ浜野一人が手掛けた楽曲で構成されていることからもわかる。
メジャーシーンに出ていくことをちゃんと楽しめる、唯一無二のファンクサウンドとユニークな歌詞で、ロックファンもポップスファンもとりこにしてほしい。まずはその個性的なパフォーマンスを目の当たりにすることをお勧めしたい。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)