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みんなが満足する「自分勝手」貫く UNISON SQUARE GARDEN
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2008年にメジャーデビューした3人組ロックバンド、UNISON_SQUARE_GARDEN(提供写真) 2008年にメジャーデビューした3人組ロックバンド、UNISON SQUARE GARDENの5枚目のニューアルバムがリリースされた。新作は、曲調や音色も華やかで彩りのあるアルバムになっているが、やはり彼らの持ち味である圧倒的なスピード感、シャープな演奏で「切れ味」とでも表現したいほどの、曲中のブレークを含むアレンジが刺激的だ。過去4枚のアルバムで私が感じてきたのは、作品や時代ごとにいろいろなものにトライをする振れ幅のある音楽というよりは、本来持っている自分たちの持ち味を変えずに、むしろ研ぎ澄まして音を鳴らし、アルバムという形で表に出す、という一貫性だ。
新作に対して作詞作曲を担当しているベースの田淵智也は「僕らはこれしかできないんで、と言い張れるものを作ろうと思った」という。ボーカルの斎藤宏介は「迷いを振り切るという作業がなかった。3人でできることを理解した上でやれることをやり切った感じ」と語った。
音楽シーンの流行、メンバー以外のさまざまな人の意見などにとらわれ過ぎずに、自分たちのやりたい音楽性やライブのスタイルを貫く、というスタンスに至ったのは、ライブの動員が増えていった時、お客さんに楽しんでもらうということを考えて試行錯誤した挙句、「受け手を気にしすぎて停滞してしまった時期があった」(ドラムの鈴木貴雄)からだという。
自分たちの作品の方向性、かっこいいと思うことをまっとうする姿勢が顕著に表れているのは、作品を重ねたキャリアについて「自分勝手な暴れ方を分かってきた。みんなが満足する“自分勝手”は、最大の表現だと思います」と鈴木が答えていることからもわかる。バンドのビジョンや目標について、田淵は「好き勝手にステージをやり続けて、それを好きでしょうがないヤツがそこそこいる」と話し、ここでも自分たちの方向性を真っすぐ進む姿勢をみせた。
さらに田淵が「外、世の中に対して、期待しない」と言い、斎藤は「自分のかっこいいと思うもの、感動できるもの、楽しいと思えるものが最優先であるべきだ」と言っていることからも、評価や流行に流されずに自分たちの良いところを見つけ、ぶれずに磨き続ける大切さが伝わってくる。
彼らが作品ごとに考え、ライブごとに取り組んできたさまざまな経験という名のトンネルは既に抜けたようだ。自分たちの探し当てたその道を自由に駆け抜けてほしい。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)