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3ピース 理想の雰囲気、勢い SISTER JET
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2008年に音源デビューしたバンドSISTER JETは、ガレージロックのような勢いと、邦楽に通じるようなメロディーで独自のグルーブを生み出し続けてきたバンドだ。12年にベーシストが脱退すると、2人組として活動を続けたのがユニークだった。実質2人組としての音源は1作、そしてサポートメンバーとしてベースにカジヒデキ、キーボードに堀江博久を迎えて制作された作品が1作あり、昨年(2013年)末にベーシスト、オオナリヤスシが加入し、3ピースバンドに戻った。現在のメンバーによって制作されたニューアルバム「×××(バツバツバツ)」が6月11日、リリースされた。
デビュー当時から知っている筆者としては、初期に戻ったようなエネルギー、自由なアレンジアイデアや歌詞世界が聴いて取れ、のびのびと演奏しているバンドの姿が目に浮かんだ。
「第二の初期衝動ですね」とはボーカルギターのWATARU.Sの言葉だ。2人で音を作ったり、サポートを入れて音を鳴らすより本来このバンドが理想とする形で鳴らされている、一番いい音なのであろう。新加入のオオナリは、もともと同じマネジメントの別のバンドにいたこともあり、古くから知っている仲というのも重要な要素だ。
そのオオナリは「誰かが持ち込んだ曲をその通りにやるという曲作りではなく、ひとつのアイデアから3人でセッションしながら作っていきました。今のバンドのテンション、雰囲気がそのまま出ています」と語る。
WATARU.Sは「ライブをやるような勢いで作ったので、次にどうやって曲を作っていいかわからないくらいです」と笑った。まさに今のこの3人だからこそできあがった作品といえる。
3ピースバンドとしてのこだわりはあるのかと聞くと、「ギターは一人で十分、目立ちたいんで(笑)」というWATARU.Sに対して、「音楽的にはもう一人ギターを入れたいと僕はずっと言っているんです」とドラムのKENSUKE.Aは言った。
「楽曲制作中に口論になって、ケンスケが『俺が歌ってやる!』と豪語したので歌わせたらすごく良かったのでアルバムに入れたんです」という曲も入っている。
アルバムは、曲折を経て自由な発想やアイデアをぶつけあう仲間に出会い、バンドらしいバンドとしてエネルギーの詰まった作品に仕上がった。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)