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自分と向き合って選んだ言葉たち 見田村千晴
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シンガー・ソングライター、見田村千晴さん(提供写真) 見田村千晴は昨年(2013年)メジャーデビューしたシンガー・ソングライターで、4月16日にメジャーセカンドミニアルバム「寝そべった夕暮れを切り裂いてバスはゆく」がリリースになった。
前作では、周りにいる人への疑問や居心地の悪さなどをシニカルに描いた曲「悲しくなることばかりだ」がリード曲だったこともあり、今作も強い表現で社会性を帯びる歌詞の世界をイメージしながら聴き進めていったが、前作の印象とは違い、より自分自身と向き合って紡がれた言葉が印象的に聴こえた。
本人は「前作のリード曲で私を知ってくれた人が多い中で、今作は自分の作品性を決定づけるものにしようと意気込んでいました。でも、周囲の期待などいろいろと考え過ぎて身動きが取れなくなってしまい、結局、自分の中から出てくる言葉を歌おうと思うことにして、全7曲がそろったんです」という。
そのなかで、音楽を生業にしている彼女特有の気持ちをつづった曲がある。自分にとっての音楽の在り方を歌う「MUSIC」という曲だ。「音楽なんか聴きたくはない」と突き放すように歌うが、それでもやはり同じ音楽に救われる自分自身を歌っている。この曲について本人は「私って面倒くさいなぁと思います」と笑う。音楽を単純に好きで救われて、というポジティブな部分だけではなく、時には離れたいと思う複雑な心境こそ、アーティストとしてのリアルであろう。それをそのままさらけ出しているところが、とても彼女らしいと感じた。
そんな歌詞へのこだわりについて、「この言葉、言いたい!」という単語、フレーズは日々ノートに書き留めているという。「言葉選びは以前より慎重になった。ラジオなどを通して、顔の見えない相手にも、自分の頭の中の風景とできるだけ同じものが見える曲を書きたいと思っています」と言う。
レコーディングの途中でもぎりぎりまで歌詞の手直しを加え、納得いく表現にしていく作業に時間を費やした。
「感情と感情の間、グラデーションの中の曖昧で名前のつけづらい心の揺れを見逃さないでとらえ、言葉にしてみたいと思っています」と語る彼女は、複雑な心の機微を力強い言葉に変え、芯のあるみずみずしい声で歌う。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)