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世界へ飛び出しつかんだ「イズム」 NIKIIE

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世界へ飛び出しつかんだ「イズム」 NIKIIE

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 自分の心の奥底にある感情を紡ぐ歌詞の世界観を得意としているシンガー・ソングライターは、作詞の作業になると自分の内面にとことん向き合うため、苦しい作業をしているのだと本人に聞いたことがある。

 5月21日にリリースされたNIKIIEのニューアルバムは、自分の心の中に入り込んで悲しみや切なさなど、感情の揺れを表現している一方で、広い世界に飛び出していくような開けた表現が印象的に受け止められる曲が心に残った。

 「前作を出してから、空っぽになってしまい、自分が何を歌ってどんな曲を作ればよいのか見えなくなってしまっていた」と、本人は振り返る。作り始めれば煮詰まり、行き詰まってしまう。そんな繰り返しから脱却できたのは、旅行がきっかけだったという。

 「思い切ってスペインに旅行に行ったんです。ガウディの建築やさまざまな美術を見て、狭くなった視野、迷っていたものが吹っ切れたんです」

 凝り固まっていた方向性から解き放たれ、自由に曲を作り、自分の感じたように表現することを決めた彼女は、アルバムの1曲目の「Colorful」で、縮こまっていないで知らない場所に飛び出していくんだ、と力強いメッセージを放っている。

 自分の持ち味伝える

 アルバムタイトルは彼女のトレードマークのピアノをモチーフにした「Pianism」である。前作のリリース後に行われたライブツアーでは、バンドアンサンブルを大切にしようとしたために、ピアノを少し控えめにしたほうがいいのではないか、という考え方もあったが、今の自分は、どんなサウンドアレンジになっても、自分のピアノの演奏やフレーズがちゃんとピアニストとして主張できるものにしたかったそうだ。

 「私はシンガー・ソングライターですが、ピアノを弾いて歌うという自分らしい持ち味を、聴き手にしっかりと伝えないといけないという気持ちがあります」と語ってくれた。

 自分の中に答えが見つからない時は、視野を広げ、外に向かって飛び出してみると、さまざまな刺激をインプットできて、かえって自分らしさや自信を取り戻すことができると彼女のアルバムは伝えてくれる。多彩な音のアレンジの中にあってもしっかりと彼女のピアノと歌を感じることができ、これがキャリアを積んで試行錯誤しながらたどりついた彼女の信念、イズムであると感じた。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS

 ■ニキー 4歳でピアノを始め、16歳の時に作詞・作曲、バンド活動をスタート、17歳でソロとなった。オーストラリアにホームステイをした経験がその後の音楽活動に影響を与え、高校卒業後、茨城から上京し、ライブを中心に活動している。2010年12月、シングル「春夏秋冬」でデビュー。3枚目となるアルバム「Pianism」が5月21日に発売された。

 ■ふじた・たくみ 1976年、東京都生まれ。ラジオ、テレビの音楽番組を中心に活動する傍ら、年間150本ほどライブに通う。現場主義の視点で音楽を紹介し続けている。

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