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メジャーでも一歩一歩確実に BLUE ENCOUNT
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熊本発、都内在住4人組エモーショナルギターロックバンド、ブルー・エンカウント=2014年7月1日(提供写真) 昨年夏、大型音楽フェスティバル「SUMMER SONIC」でのパフォーマンスに圧倒された。そのあとに出てくるももいろクローバーZを待つファンが多数いる中、一曲やるごとに会場全体を味方につけていき、最後は会場が一体になって曲に合わせて手を挙げていた。ボーカル&ギターの田邊駿一は「ステージに上がるとももクロファンの人たちが喜んで迎えてくれて驚きました。ならば持ち味を一方的にぶつけるのではなく、見ている人のことを思えるようにするんだ、という自分たちの新しい意識を発見しました」と振り返った。彼らの強力なステージパフォーマンスを鍛えたのは、デビューを自ら辞退するという挫折とメンバー脱退の危機を乗り越えた経験だ。
就職率100%だったという九州の高等専門学校で結成されたバンドは、周囲の反対を押し切って音楽活動を夢見て上京。後にコンテストで優勝したことをきっかけにレーベルから誘いを受け、あっという間にメジャーデビューのスケジュールが組まれた。
しかし、田邊は「目まぐるしくさまざまな活動をこなしていくうちに、これが俺たちのやりたかったものなのか?と悩んでしまったんです」と語る。そして最終的にデビューを辞退。付き合いのあったインディーズレーベルで活動することになったが、ベースの辻村勇太は「リリースしたCDが全然売れず、それならばということで年中ライブをやってツアーを回っていました。毎日が音源の即売会のような感じでした」と振り返る。ギターの江口雄也は「ツアーを終えて帰ってくると、もう次のツアーが組まれているという状況だった」と語る。
彼らがライブで見せる必死さ、エネルギーを爆発させるようなパフォーマンスはこの時代に鍛えられたのだという。さらには辻村のバンド脱退危機を乗り越えた時、バンドの方向性やライブのやり方も変わっていき、動員の増加につながった。現在の所属事務所との出会いも訪れ、満を持して10日にメジャーデビュー作品をリリースした。
100曲もの候補曲を用意して生み出されたというデビュー作は、これまでの困難を一つずつ打破してきた経験が凝縮されたような展開で進む、勢いのある曲だ。ドラムの高村佳秀は「昔と変わらずメジャーでも一歩一歩確実に歩んでいきたいです」と語る。それが最終的に彼らだけを待つ人で埋め尽くされる大会場のライブにつながっていくと思う。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)