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メジャーでも変えないバンドの本質 THE ORAL CIGARETTES
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4人組ロックバンド、ジ・オーラル・シガレッツ(提供写真) グルーブ感のあるエネルギッシュなロックバンド。パワフルなライブは観客の空気感を読み取りながら、ほどよく挑発して盛り上げる。そのユニークなバンド名も手伝って、THE ORAL CIGARETTESは初めて音源を聴いた時から印象深いバンドである。
キャッチーなメロディーを持つ一方で、時折顔をのぞかせるひねったメロディーや展開を持つ楽曲も個性的だ。以前メジャーデビューシングルを聴いて、インディーズ時代の楽曲に比べてキャッチーさが増し、ギターのフレーズも強力に耳に残り、より幅広くリスナーをひきつける曲になったと感じた。そのタイミングで話をした時、ボーカルでソングライターの山中拓也は「これからのメジャーシーンの中で戦うにあたって、曲の書き方や意識を自分の中で咀嚼(そしゃく)している最中だ」と言っていた。
好きなフィーリングだけを頼りに曲を作ろうとすると、マニアックで共感性に欠ける可能性があることをソングライターの悩みとして耳にする。そうかといって自分が納得いかない曲を作ってもどこかエネルギーを欠いたものになり、活動を続ける上でのストレスにもなる。
ジャンルを問わず広く楽曲が聴かれる可能性の高いメジャーレーベルでの活動、そこでのビジョンやポリシー、活動していくなかでの状況の理解度などには、そこに明確な定義や約束事があるわけではないが、曲を作る上で無意識でいられないのも事実だ。もちろん時代によってはやったり廃れたりする音楽的、技術的要素もある。
そんな会話から半年たち、彼らにとってのひとつの答えが届いた。来週12日にリリースになるメジャー1stフルアルバム「The BKW Show!!」である。
アルバムを作るにあたっては「今まで応援してくれていた人も(最近になって)フェスで出会った人にも、バンドの本質を知ってもらいたい。聴きやすいメロディーと絶対的なギターリフという持ち味をより多くの人に知ってもらおう」と考えていたという。
もちろん前述のシングル、そしてライブの定番であるインディーズ時代の曲も入って、彼らの持つ要素を網羅している。アルバム1曲目は「嫌い」と連呼するとがったロックナンバーだが、「ライブで空気を一変させたい」という意気込みと同様、BKW(番狂わせ)ショーというこの作品で、これからのロックシーンをにぎわしてくれるに違いない。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)