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僕一人で作ると意外とまとも ドレスコーズ

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僕一人で作ると意外とまとも ドレスコーズ

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音楽アーティスト、ドレスコーズ(提供写真)  「本当は話したいことがあるんだけど」と、昨年9月に私がやっているラジオ番組に出演した直後、去り際にもどかしそうに志磨遼平が言った。そして数日後、志磨以外のメンバー全員がバンドを脱退するというニュースが伝わってきた。バンドが結成されてからずっと追いかけていただけに、ショッキングなニュースだった。

 志磨は結成当初、「自分の思い描いていなかったアレンジがバンドメンバーから出てくる」と言っていた。それが志磨の持つ豊かな経験や音楽知識と合わさることでドレスコーズらしさ、ユニークでエネルギッシュなバンドの世界観となっていたのだろう。しかし、4人から出てくる振れ幅のあるアイデアを一つの曲としてまとめ上げていくのは、特にこのバンドの場合は大変なのではないかと感じていた。自分が思いもよらないアイデアたちを、全員が満足する形に落とし込んでいく作業やそこにかける時間と精神的な負担など、計り知れない苦労があったはずだ。

 そして最終的に志磨以外のメンバーが脱退して、ドレスコーズは志磨一人で活動を続ける、という事になった。

 バンド終了、制作に没頭

 志磨は昨年7月にバンド体制での活動終了を決めた時点で、後にリリースを予定しているアルバムは「一人で完成させる」とメンバーに伝えていたそうだ。その後、9月にリリースになった「Hippies E.P.」は、今までの作風とがらりと変わったサウンドや共同作業者の名前がクレジットされているところから、この4人でなければいけない理由を失い、志磨の思い描く世界観に寄っていることを感じさせるものであった。

 一人で作り、完成させたアルバムは「1(ワン)」という。収録曲のタイトルの中には「もうがまんはやだ」「妄想でバンドをやる」など、志磨の置かれた状況を如実に表しているものもある。一人になって音楽を作っている時の心情は「歌詞になっています。冷静になれなかったので、現実逃避のような感じで制作作業に没頭しました」と志磨は振り返る。そして「最初にレコーディングした『スーパー・スーパーサッド』を聴いたとき、僕はこんな音楽を作るんだ。まともだな!と思いました(笑)。毛皮のマリーズも初期のドレスコーズも決してまともではない音楽だと自分では思っているので。まともじゃなかったのって、メンバーだったんだな。僕は一人だと意外にまともな男でした!」と語った。

 今後の活動はまだ決めていないらしいが、豊富なアイデアを表現する「志磨遼平のままの音楽」に期待したい。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS

 ■the dresscodes 毛皮のマリーズのボーカルとして活動後、2012年7月にシングル「Trash」でデビュー。12月に1stフルアルバム「the dresscodes」、13年11月に2ndフルアルバム「バンド・デシネ」を発表。日比谷野音で公演を成功させた後、14年9月にリリースした「Hippies E.P.」でバンド編成での活動が終了し、志磨遼平のソロプロジェクトとなる。14年12月10日にアルバム「1」をリリースした。

 ■ふじた・たくみ 1976年、東京都生まれ。ラジオ、テレビの音楽番組を中心に活動する傍ら、年間150本ほどライブに通う。現場主義の視点で音楽を紹介し続けている。

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