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Climate Youth Japan 世界にメッセージ発信(下) 海外団体と連携強化 COPに代表派遣

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Climate Youth Japan 世界にメッセージ発信(下) 海外団体と連携強化 COPに代表派遣

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「国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議」(COP20)に先立って行われた第10回「Conference_of_Youth」(COY10)で、イベントを主催し発表を行った=2014(平成26)年(横浜国立大学_有志学生記者、内藤秀治撮影)  【Campus新聞】

 「Climate Youth Japan」(CYJ)では、昨年(2014(平成26)年)12月にペルー・リマで開かれた「国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議」(COP20)に5人の若者(ユース)の代表を派遣した。派遣は2010年のCOP16から行われており、今回で5回目となる。主な目的は、(1)日本の若者(ユース)の意見を日本政府や世界に届ける(2)海外ユースとのネットワークの強化(3)主体的に発言・行動するリーダーの育成-だ。

 各国の事情や経験を共有

 派遣者は3段階の選考審査によって決まる。決定後は、CYJメンバーが主催する勉強会や合宿で派遣に備える。

 COP20に先立って開かれた第10回「Conference of Youth」(COY10)では、CYJがサイドイベントを主催し、ワークショップを行った。参加者がそれぞれの国の事情や経験を共有し相互理解を深めながら、気候変動の原因について考え、新たな解決策を探ることに焦点を当てた。参加者からは「とても興味深いワークショップだった」との声が多く、日本のユースの存在感を世界に示すことができた。

 イベントでスピーカーとして登壇した東京大学工学部4年の北祐樹さん(22)は「各国で事情は違えど、気候変動の影響はどこにでもあるのだということを再認識した。それらにいかに適応していくかが、私たちの世代の最重要課題の一つだと感じた」と語る。

 COPにはアジアからも日本や韓国、中国、台湾、シンガポール、フィリピン、ネパールなど数多くの国・地域からユースが参加。これらアジア諸国をつなぐネットワーク「Asian Youth Climate Network」(AYCN)が組織されている。アジアのユースによる気候変動への取り組みの発展、意識の向上を目的として結成され、これまで各国の活動事例の共有などを行ってきた。

 来年には新たな取り組みとして、「Asian Power Shift」というイベントを開催することを決定し、今回のCOP20で準備段階に移ることができた。Power Shiftとは、アメリカで始まった気候変動問題の解決に向け若い世代が声をあげていくためのイベントだ。気候変動の影響が深刻なアジアのユースが開催することに大きな意義がある。

 東京と福岡で報告会

 COP20の会場では、ほかにもユースの活動が目立った。韓国のユース団体「National Assembly Forum on Climate change」は、“Talk About Love Climate Change”という題名の歌を通じ、環境に優しい製品の普及を図る「グリーン購入」を推進する活動を行っていた。韓国ではグリーン購入が一般に広まりつつあるという。開催国ペルーの人たちも「トーテム(野生の動物や植物の象徴)」の絵を描き、気候変動への対策を訴えるなど積極的に活動していた。

 CYJは東京と福岡でCOP20派遣報告会を開催する。東京では、2月7日に東京大学本郷キャンパスでの開催を予定しており、自分たちが今後できることを考えるワークショップも併せて開く計画だ。

 福岡では2月1日を予定しており、「再生可能エネルギー推進市民フォーラム西日本」(REPW)の協力で、ゲストにWWFジャパンの山岸尚之氏を招く。このイベントではCYJのほかに、九州の学生環境団体5団体が活動発表も行う。

 2月1日に「みやぎ環境とくらしネットワーク」(MELON)が主催して仙台で行われる気候変動シンポジウムにも、派遣メンバー2人がゲストとして参加し、報告を行うことになっている。シンポジウムで報告する予定の東北大学工学部4年、服部拓也さん(23)は「気候変動に対する問題意識の高さや取り組み方法など日本とは多くの違いがあった。肌で感じたことを伝え、気候変動について考えるきっかけや情報を提供したい」と意気込んでいる。

 ユースが語るCOP20報告会には、貴重な体験が詰まっている。気候変動問題に関心がある人、ユースの活動に関心がある人にぜひ参加してほしい。(今週のリポーター:横浜国立大学 有志学生記者 内藤秀治/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 詳細はClimate Youth Japanの公式ホームページで。

 【編集後記】

 気候変動という複雑で大きな問題に対し、若者として何をすればいいのか。そもそも何が問題なのか、見えていないことが多すぎる。一部の専門家や識者だけが話し合うのではなく、より多くの人が議論に参加し、それぞれが意見や考えを持つことが、問題解決の大きな一歩になる。その一助となるよう、これからも活動を続けていきたい。(横浜国立大学 有志学生記者 内藤秀治)

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