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【ラグビー日本選手権】帝京大「金星」 NEC撃破 9年ぶりTL勢から勝利
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NECを破り歓喜する帝京大の選手=2015年2月8日、東京都港区・秩父宮ラグビー場(山田俊介撮影) ラグビーの第52回日本選手権が8日開幕し、東京・秩父宮ラグビー場などで1回戦4試合が行われ、全国大学選手権6連覇の帝京大が、トップリーグ(TL)10位のNECを31-25で破り、準々決勝に進んだ。日本選手権で、大学勢がTL勢に勝利するのは、2006年に早大がトヨタ自動車に勝って以来9年ぶり、2度目の快挙だ。
“学生史上最強”の名に違わぬ闘いだった。悲願の打倒TL勢を果たした帝京大の主将でスクラムハーフ(SH)の流は「すごく充実した80分間だった。きょうの試合を誇りに思う」と胸を張った。
帝京大は前半を17-17の同点で折り返し、後半27分にスタンドオフ(SO)の松田のペナルティーゴール(PG)で勝ち越すと、35分に右サイドで流がゴロで転がしたキックを、ウイングの尾崎が押さえてトライ。終盤に3点差とされたが、ロスタイムに松田がPGを決め、突き放した。
体力と集中力が最後まで切れなかった。出足の鋭いタックルでNECの攻撃を早めに食い止め、TLのトライ王ナドロまでボールを渡さない。スクラムでもほぼ互角に渡り合った。試合が進むにつれ、敵陣でのプレーが増え、主導権を握った。試合終盤の貴重なトライを演出した流は「ぎりぎりを想定して練習してきた。自分たちの良さである粘り強さが出た」と自賛。松田も「互角以上に戦えた。勝つことだけをイメージしていた」と誇らしげだった。
「どんな言葉を並べても負けは変わらない。トップリーグのチームと遜色なかった」。NECの主将でプロップの滝沢も大学生たちの強さを認めるしかなかった。日本代表SO田村は「普通にやって普通に負けた」と言い訳はしなかった。
大学勢の頂点に君臨してきた帝京大だが、過去5年はTL勢にダブルスコア以上の完敗。この1年、「打倒TL」に照準を絞り、準備してきた。密度を高めたウエートトレーニングと走り込みで体格面の劣勢を克服。TL勢との合同練習や練習試合を積み重ねて相手の力量を体で覚えた。フッカー坂手は「慣れていたので最初から迷いなくいけた。コンタクトでも負けなかった」と、効果を実感する。
精神的にもたくましくなった選手たちに、岩出監督は「よく頑張った。誇りに思う」と目尻を下げた。
日本選手権が大学王者と社会人王者の一発勝負だった1963年から97年までは大学勢も8勝を挙げているが、トーナメント制移行後に勝ったのは早大だけ。03年にはTLが発足し世界レベルの外国人選手も参戦するようになると、社会人と大学生の実力差はさらに広がった。
15日の2回戦ではTL3位の東芝と対戦する。ハードルは一気に上がるが、「きょうのプレーを出せればいい試合はできる。帝京ペースにしたい」と松田。大番狂わせをこの日だけで終わらせるつもりはない。(SANKEI EXPRESS)