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梅から桜へのんびりと 平松昭子

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梅から桜へのんびりと 平松昭子

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梅から桜へのんびりと(イラスト:平松昭子さん提供)。http://kimonosnack.blogspot.com  【和のスタイル】

 梅まつりが近所の羽根木公園で始まりました。小さな丘になっている公園には、紅白の梅の木が60種類以上、約650本が見られます。毎年恒例のお祭りですが、いつでもすぐ行けると思っているうちに約1カ月間のお祭りは終わってしまいます。でも今年は、のんびりと梅の花を眺めたいと思っています。

 梅はその年の草木の中でもっとも早く花を咲かせるところから「百花の魁(さきがけ)」といわれています。寒さに耐えて急がずゆっくりと、つぼみは寒い風の中で膨らんでいきます。わが家の梅の木もいつの間にか小さくてかわいらしいつぼみをつけていました。これから毎朝、家を出るときにつぼみの成長が楽しみになってきました。

 さて、今年に入ってまだ1カ月しかたっていないのに次々といろんなことが起き、あっという間に桜の季節になりそうな勢いです。先週、父の葬儀で桜の花の祭壇を頼みました。「2月から注文できるスペシャル花祭壇は通常の祭壇よりかなりお得です」というような説明を受け、こういったことにお得感覚はどうかと思ったのですが、桜の花の入った写真は他のどの祭壇よりも美しくて、父が好きだった歌「同期の桜」も思い出し、母と妹は迷っていましたが説得して桜の祭壇にしました。桜は父の遺影の横で堂々と咲いていました。

 私が自分の会社を立ち上げたばかりの頃、父が手紙をくれました。仕事のアドバイスが書かれていて、その中の一つ「意見を求められたら堂々と答えること」はいつも忘れないようにしていることです。父も私も最終学歴は高卒ですので、特に経営学を学んだわけではありませんが会社をつくることができました。私は父の働く姿をずっと見てきました。子供の頃は、よくわからない大人の話も経営の話題が聞こえてくると一生懸命耳を澄ませていたのを思い出します。父はぎりぎりまで働き続けました。そして去年の秋に引退し、それから半年もたたないうちに息をひきとりました。桜のように見事に散っていった自慢の父です。離れて暮らしていたとき以上に父の気配を感じるので2月から4月は、のんびり梅と桜のお花見を父と一緒に楽しみたいです。(イラストレーター 平松昭子/SANKEI EXPRESS

 ■ひらまつ・あきこ 1970年、愛知県生まれ。広告プロダクション退社後、フリーのイラストレーターに。ファニーでエレガントなイラストで人気を集め、現在は「GLOW」でコミックエッセーを連載中。「kate spade new york」日本公式ブロガー。水墨画や日舞をたしなみ、着物を愛好する。著書に「お洒落きものイズム」(グラフィック社)など。LINEのスタンプ「ラヴ&ゴージャス」が発売中。kimonosnack.blogspot.com

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