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ウクライナ政変1年 国家分断、経済破綻 疲弊する国民
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ウクライナの首都キエフで開かれたデモの犠牲者の追悼集会で花をささげて祈る女性=2015年2月20日(AP) ウクライナで親欧米派市民が街頭デモによりロシア寄りのヤヌコビッチ前政権を倒して23日で1年となる。親欧米政権を確立したものの、反発したロシアに南部クリミア半島を編入され、東部は親ロシア派武装組織が蜂起し独立を主張、国家は分断状態に陥った。終わりの見えない紛争に、破綻状態に陥った経済と危機は深まる。
デモでは治安部隊との衝突で市民100人以上が死亡した。その後始まった東部の紛争は停戦合意後も収拾せず、5600人を超えた犠牲者は今も連日増え続けている。事実上軍事介入したロシアがどこに着地点を見いだすのかが不透明で、国民の間では疲弊感も漂う。
戦費の増大で、以前から不安定だった国家財政はデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に陥った。国際通貨基金(IMF)の金融支援など国際社会の助けを借りて立て直しを図るが、世界最悪レベルの汚職体質や非効率な政府・民間の体制改革は紛争の陰に隠れてあまり進んでいない。
街中の両替所で1年前は1ドル=8フリブナ程度だった為替レートが現在は1ドル=28フリブナを超える。急激な通貨安に伴い政府は今年のインフレ率を26%と予想しており、国民生活はさらに逼迫(ひっぱく)しそうだ。
「改革は片手で行わなければならない。なぜなら片手は敵意ある隣人に反撃しなければいけないからだ」。ポロシェンコ大統領は20日、自国が置かれた困難な状況をこう表現した上で、目標とする欧州統合に向けて国民の団結を呼び掛けた。
ガリーナさん(66)は「今は戦時。我慢して大統領を支える時だ」と言う。国民の間では大統領支持の意見が多いようだ。ただ、ユーリーさん(49)は「戦争で負け、経済も崩壊すれば、ポロシェンコは弾劾に直面するだろう」と話した。
ロシアは否定するものの、ロシア軍がウクライナ東部に侵入して親露派を直接支援しているとの見方は既に欧米の共通認識。しかし、昨年3月のクリミア編入の時と同様、経済制裁以外に有効な手段は見いだせていない。
国際社会の無力さの前に、現地住民の苦しみは続く。
紛争地に近い東部ハリコフの仮設住宅に妻や親族と避難しているエフゲニー・ブルダさん(84)は昨年8月の夜、就寝中にドネツクの自宅の脇で爆発が起きた。「ドーンと魂が破られるような大きな音だった」。床が揺れ、窓ガラスは割れて扉が壊れた。着の身着のまま飛び出し、通りかかった車に乗り込んで逃げた。ブルダさんは「将来は分からない。何も分からない中で生きている」と目を潤ませる。
ロシアへの警戒心が高まる首都キエフでは、幹線道路に大きなブロックが置かれ、検問所設置の準備が進む。アンドレイさん(37)は「誰かが止めなければキエフまで(ロシア軍が)来るかもしれない」と話した。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪外相が来月訪日 紛争解決・ロシア対応協議≫
ウクライナのクリムキン外相が3月1~3日に来日し、岸田文雄外相と会談する予定であることが21日、分かった。キエフと東京の関係筋が明らかにした。ウクライナ閣僚の来日は、昨年2月の政変などに始まるウクライナ危機後初めてで、先進7カ国(G7)の一角である日本との連携強化が狙い。プーチン大統領の訪日をめぐり調整を続けるロシアは、外相会談を注視する構えだ。
ウクライナ東部では、親露派武装組織が独立を主張して政府軍と交戦、今月15日の停戦発効後も一部で戦闘が続く。外相会談では紛争解決のための協力や、ロシアへの対応などについて協議する見込み。危機的状況に陥った経済の立て直し支援も話し合われる見通しだ。
ウクライナのポロシェンコ大統領は昨年10月、イタリアで会談した安倍晋三首相にウクライナ訪問を招請しており、この件も議題になりそうだ。和平実現に向けて日本との結束をアピールしたいウクライナ側は、クリムキン外相と安倍首相の面会も求めているが、国会会期中でもあり、実現は流動的だ。
日本政府は、ロシアによる昨年3月のウクライナ南部クリミア半島編入を「力による現状変更」と批判、クリミア返還を求めるウクライナ政府を支持している。安倍首相が昨年3月、オランダでのG7緊急首脳会議でウクライナへの最大1500億円の援助を表明するなど、日本はG7各国と連携しウクライナを支援。クリムキン外相は日本側に支援継続を求めるとみられる。(共同/SANKEI EXPRESS)