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少年89人誘拐 戦闘を強制 内戦泥沼化 南スーダン武装勢力

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少年89人誘拐 戦闘を強制 内戦泥沼化 南スーダン武装勢力

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南スーダンとの国境地帯で、銃を手にするケニアのトゥルカナ族の少年たち。両国の国境紛争にも、それぞれの少年兵が駆り出されている=2014年12月21日、イレミ・トライアングル(ロイター)  国連児童基金(ユニセフ)は21日、政府軍と反政府勢力の武力衝突が続くアフリカの南スーダンで先週、少なくとも89人の少年が武装集団に誘拐されたと公表した。少年兵として戦闘に参加させる目的とみられ、ユニセフは強く非難し、即時解放を求めた。2011年7月にスーダンから分離独立し、陸上自衛隊が翌年から国連平和維持活動(PKO)に参加している南スーダンでは、13年12月から内戦状態となり、政府軍と反政府勢力の激しい戦闘が断続的に続いている。双方とも兵力を補うため、誘拐した少年を強制的に戦闘に従事させており、ユニセフは昨年1年間で約1万2000人の子供が少年兵にさせられたと推計している。

 民家に押し入り

 ユニセフによると、武装集団は先週初め、南スーダン北部の油田地帯、上ナイル州の州都マラカル近郊の集落を包囲し、住宅に一軒ずつ押し入って12歳以上の少年を選んで連れ去ったという。89人とは確認された人数で、実際にはもっと多いとしている。政府軍と反政府勢力のいずれの側に立つ武装勢力かは明らかになっていない。

 ユニセフ南スーダン事務所のジョナサン・ベイチ代表は「子供たちが武装勢力に誘拐され、戦闘員として利用されることによって、地域の家庭やコミュニティーが崩壊する。子供たちは想像を絶する暴力にさらされ、家族と学校に通う機会をも失い、見るべきではないものを目撃させられる」と憤慨した。

 「第3の民族」狙う

 南スーダンでは、サルバ・キール大統領(63)と反政府勢力トップのリエック・マシャール前副大統領の対立によって内戦が始まって以降、1年2カ月で少なくとも1万人が死亡し、約150万人が国内で避難民状態にある。対立の背景には、新たな国家運営の主導権争いや石油利権をめぐる暗闘などがあるが、民族対立という側面も有している。

 キール大統領の出身部族で政府軍に多い最大民族ディンカと、反政府勢力の主体である第2の有力民族ヌエルとの争いだ。双方は少年兵を強制的に駆り立てる際、内戦には中立を保っている第3の民族シルクをターゲットにしており、マラカル近郊の集落はシルク族の居住地域だった。

 政府軍と反政府勢力はこれまでに数回停戦協定を結んだが、協定破りを繰り返してきた。今月2日にもキール大統領とマシャール前副大統領が隣国エチオピアの首都アディスアベバで会談し、停戦協定に署名したばかりだが、戦闘は完全にはやんでいない。ただ、ユニセフや国際人権団体などの働きかけによって少年兵の解放が順次実現することになり、ユニセフは約3000人の少年兵が近く解放されると発表していた。

 近く激しい衝突か

 2月以降、これまでに3回、200~300人単位で双方から少年兵が解放されてきたが、その矢先に起きたのが今回の誘拐だった。過去の例では、大規模な戦闘が始まる前に大がかりな誘拐が行われている。それだけに、近く再び激しい衝突が起きるのではないかとの観測も出ている。

 12~17歳の子供たちが戦闘に駆り出されて、日常的に殺し合いを強制されている。決して国際社会は看過してはならない。(SANKEI EXPRESS

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