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【エコノナビ】筋力低下が招く「廃用」
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栄養学を教えている大学教授に「サルコペニア」という造語を聞いた。
ギリシャ語が語源のサルコ(肉付き)とペニア(消失・欠如)の合成語で、加齢に伴う筋力の低下のことをいうそうだ。筋力の低下や筋肉量の減少が、転倒や尿失禁、臓器の機能低下などにつながっているという。
それが、さらに進むと「廃用症候群」という病気になる。俗にいう生活不活発病である。
学術用語とはいえ、廃用という言葉から連想されるのは「もう使いものにならなくなった」という状況であり、そう病名を告げられたら、患者は気分がよいものではあるまい。
加齢だけでなく、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧などに伴い筋肉が衰え、病気が複合している患者らが大勢いる。廃用症候群予備軍といわれる患者らである。
廃用症候群に陥った患者はどうなるか。お金をかけて、薬と人手をかけて「介護」されて、命を全うしてもらうわけである。
廃用という冷徹なネーミングに、超高齢社会が訪れた今の日本の厳しい現実が投影されてはいないか。
「健康で長生き」をただ願っているだけでは実現しない。「ピンピンコロリ」も、筋肉を育てて、寝たきりなどにならないように努力して「健康寿命」を伸ばした人だけが実現できる。
「病気だから」「年だから」といって動かなければ、機能は確実に衰える。年齢を重ねればなおさら、廃用にならない覚悟が大事になってくる。
とはいえ、肩肘張って、運動にがんばりすぎて体を壊してしまっては元も子もない。正しくリハビリやストレッチを行う必要がある。
周りを見渡せば、世間のサルコペニア対策は徐々に進んでいるようだ。全国にある民間スポーツジムには終日、高齢者があふれている。社交の場が、病院とスポーツジムに二極化しているらしい。
楽しみながら静かな覚悟を持った高齢者が増えている。団塊の世代が健康寿命の延伸にどこまで貢献するか。期待するところ大である。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)