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比べたり、測ったり その本質考える 「単位展-あれくらい それくらい どれくらい?」
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単位ってなんだろう? 測ったり、計算したり、比べたり…。便利な「道具」であり、共通の「言語」であり、国や地域で違う「文化」であり、社会そのもののデザインといってもいい。単位なくして私たちは一時も暮らせない-。21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区)で開かれている「単位展-あれくらい それくらい どれくらい?」は、単位の本質について考え直す展覧会だ。
21_21 DESIGN SIGHTのエキシビション・プランナー、前村達也氏は、2月19日の報道関係者向けの内覧会で、開催のきっかけについて話した。東北の食と住を紹介した『テマヒマ展』のリサーチで70~80代の人たちに話を聞いた際、「いまだに尺貫法で話をしているので、イメージが湧かなかった。しかし勉強してみると、尺貫法はアジア人の体の部位に合っていることが分かった」。それからさまざまな単位を調べるうちに、単位に関するツールやデザインを(展覧会で)見せたら面白いと思ったという。
「お酒スケール」を見れば一目瞭然だ。一斗樽からおちょこまで、酒を貯蔵したり、運んだり、飲んだりする用途に合わせて単位が生まれ、それに合わせた道具を作ってきたことがよく分かる。酒に限らず人間は、ありとあらゆるものを測り、比べ、計算するために単位を使ってきた。が、いつの間にか、単位は私たちの体を離れて独り歩きし、今や人は単位に合わせて生活するようになった。
とくに科学が進展し、計測機器が発達した現代では、実感できない単位も増えた。ベクレル、ギガバイト、ピクセル、ヘクトパスカル、ナノグラム…。
「りんごってどれくらい?」は、“体内計”ともいうべき、私たちの「実感」を取り戻す装置といえるだろう。画面上の「手のひら」で、自分がリンゴの大きさと思える円を囲い込んで離すと、装置がリンゴの品種「ジョナゴールド」などに判定してくれる。
自分も試してみた。「スイカ」や「グリーンピース」など円の囲い込みの失敗を繰り返したあと、リンゴの品種「王林(おうりん)」に判定されたときは正直うれしかった。
「1秒の世界」は、台に乗っている時間内に、世界では何が起きているかを教えてくれる。例えば27秒では、「地球が10933メートル動いた」との表示が出る。刻々と世界が動いていることを改めて知らされると、無駄に時間を過ごせないような切迫感も湧き上がってくる。
「ことば の おもみ」は、ひらがなの文字を金属で作り、2つの言葉の重さをてんびんばかりで測らせる趣向だ。
展示にはほかに、おじいさんが手書きで、時計の文字盤に針を書いて時間を知らせる「Grandfather Clock」(マーテン・バース)、1リットルの同量の水をガラスのさまざまな容器で見せる「1Lってどれくらい?」(桐山製作所)など、単位を“可視化”する展示が多い。
しかし、考えてみれば、時間、温度、空気、水、スピード…。単位の歴史は、目に見えない(見えにくい)ものを“可視化”してきた歴史だった。時計の例を挙げるまでもなく、その歴史から、たくさんのデザインが生まれてきたことにも気づく。(原圭介、写真も/SANKEI EXPRESS)