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盲導犬 もっと知って(下) 活躍しやすい環境を…陰で支える

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盲導犬 もっと知って(下) 活躍しやすい環境を…陰で支える

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チャリティーコンサートの協賛を通じ、盲導犬の活動を支援する秋山哲男さん=2014(平成26)年11月6日(関西大学、有志学生記者撮影)  【Campus新聞】

 盲導犬についてよく知ってもらい、盲導犬をさらに増やし、盲導犬が活躍しやすい環境を作ろうと活動している人たちがいる。盲導犬を陰で支える人たちを取材した。

 ≪チャリティーコンサート通じ認知 秋山哲男さん≫

 毎年、大阪市中央区のテイジンホールで行われている、盲導犬の活動を支援するチャリティーコンサート「~心の中にやさしい風を~」が、昨年(2014(平成26)年)11月12日の公演で21年目を迎えた。中央区で鞄店「馬場万」を営む秋山哲男さんは、コンサートを協賛として支援している。

 「何事も最低10年はやらないと広まらない」。時には、定員300人のテイジンホールが満員にならないこともあるが、続けるということに意味があるのだと強く語る。21年目を迎え、継続的な支援が増えており、盲導犬への認知が広まってきたと実感できるようになった。

 コンサートの入場料などはホールの使用料などにも使われ、コンサート自体の収益は決して多くない。だが、コンサートをきっかけに、年会費6000円を払って盲導犬を支援してくれる会員が増えたという。活動を続けることで、一時的な寄付から長期的な支援へとつながっているのだ。

 これからもコンサートが続くことで盲導犬への理解と支援が広がっていくと期待している。

 ≪ボランティアで募金活動 大野和子さん≫

 昨年10月25日に、神戸・六甲で行われたハロウィーンイベントで、社会福祉法人・兵庫盲導犬協会の人たちとともに募金活動に参加したハーロー企画代表の大野和子さん。「どんなきっかけであっても盲導犬について知ってくれるのがうれしい」と、優しい笑顔で話す。

 大野さんがボランティア活動を始めたのは、大丸百貨店の前で盲導犬の募金活動をしているのを見たことがきっかけ。以前から盲導犬への寄付はしていたという。さらに兵庫盲導犬協会が毎月発行しているワンダフル通信に自社の広告を掲載するだけでなく、ほかの会社にも広告を出すことをお願いしていた。ただ、単に寄付金や広告を出すよりも、自分自身が活動に参加している姿を見てもらった方が、お願いにも説得力が増すと考えたという。

 一日の募金活動で集まるのは7000円ほど。「それならわざわざ一日中募金活動をしなくても、大野さんが7000円を寄付したらいいじゃない」と周囲に言われることもあるというが、大野さんにとって、募金活動に参加することと寄付は全く違う。「この年になっていうのもなんだけど、募金活動で社会勉強をさせてもらっている。お金を寄付するのは簡単だが、体を使って活動することで新たな発見がたくさんある」と、やりがいを感じている。

 ≪無意識のうちに差別や偏見 関大社会学部非常勤講師 倉本智明さん≫

 「盲導犬の問題に限らず、社会の人々は無意識のうちに差別や偏見を持つことがある」と語るのは、関西大学社会学部で障害学を教える非常勤講師の倉本智明さん。倉本さんは20代半ばで視力が低下し、現在は白杖を使って生活している。

 近年、「障害」を「障がい」と表記することが増えている。これは「害」という文字が持つネガティブなイメージを避けようという考えからきている。

 しかし、言葉を変えるだけでは意味がないと倉本さんは語る。「社会的なポジションが変わらない限り、言葉を変えても本質的な解決にはならない」と、文字の表記以前に理解を深めていく必要があると訴える。

 生活のさまざまな場面で機械が導入され、障害者のできることは格段に増えている。しかし、一般の人たちは「できない」と思っていることのほうが多い。

 また、日本ではドラマや映画で障害者を主人公にした感動物語が多い。感動物語で描かれる「障害者」は奮闘している姿がほとんどだが、実際はそのような人たちばかりではない。ドラマの主人公のような特別な存在としてではなく、もっと自然な形で障害者がテレビに出てきても良いのではないかと、倉本さんは言う。

 インターネットの普及で、情報は正誤を問わずあっという間に人々に拡散する。倉本さんは「相手について分かっていないことが山ほどあると理解してほしい」と呼びかけた。(今週のリポーター:関西大学 有志学生記者/SANKEI EXPRESS

 【編集後記】

 世の中には事実かどうか分からないことや、知らないことがあふれている。ゆえに、誤解や思い込みが生まれる。今回の取材のきっかけとなった盲導犬が刺された事件をめぐる問題も、その一例といえる。

 知らないことに直面したときには、さまざまな角度から何が真実なのかを考えることが必要だ。そして、相手について理解していないことが多くあると認識することが、誰もが暮らしやすい社会を実現する第一歩になるのではないだろうかと感じた。(関西大学 有志学生記者)

関西大学 有志学生記者

<取材・記事・写真>

時末捷司、土田桃子、半田夏妃、山根萌、吉田佳奈

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