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春は「立体感」で勝負 松屋銀座メンズバイヤー 宮崎俊一さんに聞く

 春らしさが肌寒い中にも日ごと感じられるようになり、防寒で重装備だったファッションも軽快にしたい季節となった。春らしいスーツの着こなしは、ネクタイやポケットチーフ、ショールなど小物をふんわり身につける「立体感」がポイントと東京・松屋銀座のメンズバイヤー、宮崎俊一さん。今年はビンテージの雰囲気漂うラウンドカラー(丸襟)も復活の兆し。「半歩、先を行く」着こなしを教えてもらった。

 「立体感」とは体格を立派に見せる技でもある。スポーツで鍛えた体でなくとも、小物を工夫することでボリュームもある、見栄えするスタイルを作ることができる。「まずスーツを買って、という方が多いかもしれませんが、発想を変えて小物からスタイルを作っていきましょう。紺やグレーといったオーソドックスなスーツにあわせるネクタイやシャツを工夫して、今年らしさを出しましょう」と宮崎さんはすすめる。

 ベースはラウンドカラーのシャツ。1900年代初頭の欧米で主流だったビンテージものに多く、かつては襟だけ取り外しできる構造になっていた。同じ系統のシャツは、NHK朝の連続テレビ小説「マッサン」では主人公の亀山政春(玉山鉄二)が初期の頃に愛用していたことで再注目されたようだ。映画「タイタニック」でもレオナルド・ディカプリオが着ていたなど、オールドファンにはおなじみかもしれない。

 首もとを締めて美しく

 宮崎さんのおすすめは、首元をボタンで締めて襟を浮かせる効果のある「タブカラー」がついたシャツ。スタイルに立体感を出し、ネクタイを美しく見せる効果がある。

 ネクタイは、まずはアクアスキュータムのプリント柄。版下とシルクスクリーンを使って丁寧に色を重ねて作られており、冬場に活躍したジャガード織りより軽快な印象。「シャツ1枚分くらいの布地からぜいたくに裁断しているので、実はコストがかなり高い」とか。

 無地のシャンタン生地を使った松屋オリジナルは、斜めに不規則に長い節(ネップ)が入り、鮮やかな色でも落ち着いた印象を与える。光沢のあるペパーミントブルーやピスタチオ・グリーン、ゴールドなどは一見、派手に見えるが「グレーのスーツに合わせれば、ビジネスシーンでも十分、対応可能です」

 ネクタイは通常、ストレートに裁断された「タワーシェイプ」が多いが、宮崎さんのおすすめは、形にわずかなくびれがある「ボディーシェイプ」。最大幅は8センチと、平均的なネクタイ(8.5センチ)より細く、スマートな印象を与える。結び目をタブカラーの上で少し浮かせれば、光がきれいに当たってネクタイの個性が際立つ。「細身な作りである分、目立ちすぎない程良さもあります」

 ショールはシンプルに

 さらにポケットチーフを使って立体感をプラス。色はネクタイの柄に使われている色が入ったものが合わせやすい。ふんわり折って差し込もう。フォーマルな場では、白のチーフをポケットから1センチ程度、のぞかせるしきたりがあるので、覚えておこう。

 肌寒さが残る中、防寒用のショールも活用して立体感をプラスしよう。最近は冬場より軽い印象の、麻やコットン、レーヨンなどの素材が登場している。「凝った巻き方をしないで、ふんわりシンプルに、スーツの上から首もとに巻くのが今年流です」と宮崎さん。

 春のトレンド色は深い青色の「ネイビー」。クラシックかつ華やかな印象を出すには、ベストを合わせたスリーピースのスーツもおすすめとか。手持ちのスーツをまずは利用しながら、足りない物を足していくおしゃれを楽しもう。(文:藤沢志穂子/撮影:野村成次/SANKEI EXPRESS

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