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政治
防衛省 辺野古海上調査を再開 知事、反対派圧力に焦り 政府強気
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辺野古沖で再開された海底ボーリング調査。奥は米軍キャンプ・シュワブ=2015年3月12日午前、沖縄県名護市(共同) 防衛省は12日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)移設で、辺野古沖の海底ボーリング調査を再開した。昨年9月の中断後、調査は半年ぶり。ボーリング調査は台船を足場にして掘削し、地盤の強度や地質を調べることで、埋め立ての実施設計に反映させる。今回は昨年の調査より深い海域の12カ所で行い、昨年11月末から3月末に延長していた調査期限は再延長する。
辺野古移設に反対する沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事(64)は「大変遺憾だ。あらゆる手法を駆使し、辺野古に(代替施設を)造らせないという公約の実現に向け全力で取り組む」と記者団に述べた。
翁長氏は埋め立て承認の手続きに法的な瑕疵(かし)があったか検証する有識者委員会を設置しており、検証が終わるまで海上作業を見合わせるよう防衛省に求めていた。調査再開を受け、翁長氏が対決姿勢を強めることは避けられず、岩石掘削や土砂採取など「岩礁破砕」の許可取り消しによる調査阻止を視野に入れている。
一方、菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は記者会見で「環境保全に万全を期しながら粛々と進める」と語り、移設作業を推進する姿勢を改めて示した。今夏にも埋め立て工事に着手したい意向だ。
≪知事、反対派圧力に焦り 政府強気≫
沖縄県の翁長(おなが)知事は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の阻止に向け、当初から念頭に置く辺野古の埋め立て承認の取り消し・撤回に加え、岩礁破砕許可の取り消しの検討に入った。破砕許可の取り消しで海底ボーリング調査を中止させる狙いだが、翁長氏に移設反対派の圧力が強まっていることへの焦りもある。対する政府は調査を続行するための「切り札」があると強気な姿勢だ。
翁長氏は昨年11月の知事選で仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事(75)による一昨年12月の埋め立て承認の取り消し・撤回を検討する考えを表明。就任後、有識者委員会を設置し、2月6日に初会合を開いた。
翁長氏は有識者委の結論を待って取り消し・撤回に踏み切るか判断するが、有識者委は初会合後、報告書の提出は7月になると明らかにした。そのため、反対派には7月までに移設作業が進んで手遅れになるとの不満が広がった。その頃、浮上したのが岩礁破砕の問題だ。防衛省が海上のフロート(浮具)を固定するため海底に沈めたブロックがサンゴ礁を傷つけているとの指摘があがり、翁長氏は「反対派をなだめられる材料だと飛びついた」(県幹部)という。
翁長氏は2月16日、防衛省に協議などの手続きを行うよう求めた。仲井真氏が昨年8月に出した岩礁破砕許可の範囲外でサンゴ礁が傷つけられた可能性が高いとして、破砕許可の取り消しと、それに伴う海上調査阻止を視野に入れる。
一方、防衛省は破砕許可にあたり、ブロック投下は許可手続きの対象外と県から伝えられたと主張し、破砕許可の取り消しは不当だとの立場。翁長氏が破砕許可取り消しに踏み切れば対抗策を講じる構えで、政府高官は「少なくとも海上調査を続けるだけの切り札はある。いずれ表に出す」と明かす。
県幹部は「破砕許可取り消しは、埋め立て承認の取り消し・撤回と同様にハードルが高く、法廷闘争を恐れて、結果的に何もできなければ反対派の不満はいっそう強まる」と指摘する。(SANKEI EXPRESS)