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「100年もたせる」 受け継がれる技術 姫路城大天守 27日から公開
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「平成の修理」で輝きを取り戻した姫路城の天守=2015年2月、兵庫県姫路市(共同通信社ヘリから撮影) 「平成の修理」を終えた世界遺産・国宝の姫路城(兵庫県姫路市)の大天守内部が18日、報道陣に公開された。一般公開は27日から。
修理は2009年10月に着工。屋根瓦をふき替え、黒ずんだしっくいを塗り直し、しゃちほこも新調した。大天守の修理は13年11月に終わったが、工事用の足場などを解体する作業が続いていた。
城内では「拡張現実(AR)」と呼ばれる技術を活用。専用のアプリを入れたスマートフォンやタブレット端末を展示パネルにかざすと、武士らが動く解説映像や、江戸時代の城を再現したCGアニメーションが映る。姫路市は15年度の入場者を180万人と見込んでいる。
姫路城が「白鷺城」とも呼ばれるゆえんは見事なしっくい塗り。「平成の修理」では2年半強の間、左官工事会社「イスルギ」(金沢市)の職人ら多いときで16人が、作業に携わった。「世界中の人に、美しい白色を楽しんでほしい」。現場を統括した中田正起さん(54)は「世界遺産・国宝の修理」という大役を終え、思いを語る。
基礎から全てを解体した「昭和の大修理」とは違い、今回は部分修理だ。修繕が必要な部分を検討し、しっくいや下地の土壁を解体した。残すところは繊細な作業が求められた。元の姿に戻すため、全ての箇所でミリ単位の正確な寸法を取る必要も。「息が詰まった。解体するたびに国宝を壊したのではと、ためらった」と振り返る。
意識したのは耐久性だ。しっくいは耐火性や耐水性を建物に与えるため、材料練りから配分を間違えることは許されない。厚さは「昭和」と同様に3センチとし、4回塗り重ねた。「50年、100年もたせるつもりで塗った」と作業に当たった中村圭一さん(44)。
難関は大天守の1階部分に当たる一層の南側正面の壁。幅約27メートル、高さ約4メートルと広く、塗るのに時間がかかればむらが出てしまう。職人間で技術力の差もあった。若手をベテランの間に入れ、16人が息を合わせて一斉に塗った。
中田さんは当初、修理を引き受けるか迷ったという。「はっきり言って、やりたくなかった。失敗したら、もう左官ではいられない」。だが、「城ができてから、関わった職人は一握り。その中にいられると考えたら価値がある」と思い直した。長年苦楽を共にしてきた中村さんも「親方について行く」と背中を押した。
参加した職人の最年少は佐藤政太さん(23)。修理が始まった時は、イスルギに入社したばかりだった。「先輩に追いつくので精いっぱい」だったが、材料練りから塗りまでの全工程をこなした。次の大規模修理は数十年後とみられる。培われた伝統技術は、世代を超えて受け継がれていく。(SANKEI EXPRESS)