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辺野古停止 農水相「知事指示は無効」 翁長氏手詰まり 官邸は会談時期探る

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辺野古停止 農水相「知事指示は無効」 翁長氏手詰まり 官邸は会談時期探る

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辺野古沖でカヌーに乗り、海上保安官とにらみ合う基地建設反対派の人たち=2015年3月30日午前、沖縄県名護市(共同)  林芳正農林水産相(54)は30日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古移設で、海底ボーリング調査などの作業停止を求めた沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事(64)の指示について効力を一時的に停止すると決定した。作業を停止すれば工事が大幅に遅れ、普天間飛行場の危険性除去と日米両国の信頼関係に「回復困難で重大な損害が生じる」との判断を示し、防衛省の主張を全面的に認めた形だ。

 翁長氏は、防衛省が辺野古沖に設置したコンクリート製ブロックが岩礁破砕を許可した区域外でサンゴ礁を傷つけたと問題視。移設作業を停止しなければ岩礁破砕許可を取り消すことがあると警告していたが、指示の効力停止を受け、許可の取り消しは当面見送る。

 防衛省の執行停止の申し立てに対し、翁長氏は作業を停止させなければブロックによるサンゴ礁の損傷を確認するための県の調査が行えないと主張したが、林氏は「執行停止で調査ができなくなるとは必ずしも認められない」と退けた。

 翁長氏は30日夕、県庁で記者団に「腹を据えて対応していきたい」と述べる一方、岩礁破砕許可を取り消すかどうかについては「個別的なことに軽々に答えられない」と明言を避けた。ただ、防衛省の申し立てを農水相が審査したことについては「審査が公正、公平に行われたか理解できず、残念だ」と述べた。

 これに対し菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は30日の記者会見で、「(岩礁破砕許可の根拠法となる)水産資源保護法を所管する農水相が判断するのは当然のことだ」との認識を示した。

 防衛省は指示の取り消しを求める審査請求も行っており、林氏は防衛省と県の主張を確認した上で裁決する。防衛省の請求を認めれば指示は取り消され、県が裁決の無効を求めて訴訟を提起する可能性もある。

 ≪翁長氏手詰まり 官邸は会談時期探る≫

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の作業停止を求めた沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事の指示について、林芳正(はやし・よしまさ)農林水産相が効力を止める執行停止を決定したことで、防衛省が指示の「取り消し」を求めた審査請求についても林氏が認める公算が大きくなった。指示を根拠に岩礁破砕許可の取り消しに踏み込むという翁長氏の算段は崩れつつあり、次の一手に頭を悩ませそうだ。

 「普天間飛行場周辺の危険性や騒音の継続」「日米の信頼関係への悪影響」

 林氏が執行停止を決めた論拠はこの2つの損害だ。指示に基づいて作業を停止すれば辺野古移設は大幅に遅れ、普天間飛行場の危険性は除去できず、日米同盟の信頼関係も損なうとの防衛省の主張を受け入れた上で、決定書はこう結論づけた。

 「効力の停止以外の措置で損害を避けるという目的を達することはできない」

 2つの損害を避けることは辺野古移設の意義そのものだ。普遍的な論拠でもあるため、防衛省幹部は「審査請求の裁決でも重視されるはずだ」と指摘し、裁決で指示が取り消されることに手応えを示す。

 翁長氏は指示を出した23日から1週間後の30日までに防衛省が作業を停止しなければ、辺野古沖での岩礁破砕許可を取り消す考えを示していた。指示が効力を失ったことで、水産庁幹部は「指示に基づいて許可を取り消すことはできない」との認識を示した。

 指示により移設反対派の喝采を浴びたのもつかの間、翁長氏は反対派から移設阻止に向けた代替策を迫られる。作業の差し止めを求める訴訟の提起や、別の理由による岩礁破砕許可の取り消しが想定されるが、県幹部は「政府に比べて準備不足は否めない」と漏らし、危機感を強める。

 政府が海底ボーリング調査を進め、夏にも埋め立て工事に着手するにあたっては実施設計に関する県との事前協議が必要だ。

 産経新聞とFNNの合同世論調査では、安倍晋三首相(60)や菅義偉(すが・よしひで)官房長官が翁長氏と会談すべきだとの回答が86.9%に上っており、事前協議の前に会談時期を探ることになる。(半沢尚久/SANKEI EXPRESS

 ■岩礁破砕 埋め立てなど海底地形を改変する行為。水産資源保護法に基づく沖縄県漁業調整規則で知事の許可が必要と定め、昨年8月に仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事(当時)が許可。水産資源保護法を所管する農水省は行政不服審査の「審査庁」に当たるため、防衛省は農水省に執行停止を申し立てた。

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