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プレミアムチリワイン 世界を魅了
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ヴィーニャ・セーニャ社のオーナー兼社長、エドゥアルド・チャドウィック氏=2015年3月9日(佐野領撮影) チリワインは「品質が良いのにお手頃」というイメージで語られたのは、日本にワインブームが起きた1990年代後半のこと。それはもはや過去となり、今や世界中のワイン愛好家がプレミアムチリワインに魅了されている。そのきっかけとなったのが、ヴィーニャ・セーニャ社の『SENA』だ。『SENA』ブランド立ち上げから20周年を記念した「ヴァーティカル テイスティング in Tokyo」にあわせて来日したヴィーニャ・セーニャ社のオーナー兼社長、エドゥアルド・チャドウィック氏(56)に話を聞いた。
『SENA』は1995年に創業したヴィーニャ・セーニャ社が、翌96年に製造を開始したチリのプレミアムワインブランド。2004年の「ベルリン・テイスティング」において、世界の名だたるワインに勝る評価を獲得して以来、一気に注目を浴びることになった。
ワインのテイスティングと言えば、ワイン愛好家のなかで伝説となっている『パリ・テイスティング事件』が有名だ。1976年、「ワインの最高位はフランス」「カリフォルニアワインなんて存在しないに等しい」と誰もが信じて疑わなかった当時、英国のワイン評論家スティーブン・スパリエ氏がフランスVSカリフォルニアのワイン対決を仕掛け、カリフォルニア産の圧勝に終わった。高級ワインの産地としてカリフォルニアのナパバレーの地位を決定的にしたと言われる事件だ。
それから約30年後の2004年、『SENA』を携えたチャドウィック氏は、自らスティーブン・スパリエ氏に声をかけ、ワインの専門家を集めた「ベルリン・テイスティング」を実現させた。フランス、イタリア、チリのプレミアムワインを含めた16種類がラベルを隠して出品された結果、1位は『ヴィニエド・チャドウィック2000』、2位は『セーニャ2001』が射止めた。チャドウィック氏が作り上げたチリ産の圧勝は、ワイン界に衝撃を与えた。
チャドウィック氏は「ベルリン・テイスティングの開催は、ギャンブルでした。もしもダメだったら、という怖さもありましたが、一生懸命に作ってきたワインが、トップ10のどのあたりに入るだろう?という純粋な疑問を解決したかったのです」と当時の本音を振り返る。
快挙を成し遂げたチャドウィック氏は、世界各地で新たなテイスティングに挑むことにした。きっかけは、ワインジャーナリストの有坂芙美子氏に「あくまでヨーロッパで起きたこと。日本でやったらどうなるかしら?」と言われたことだという。
「最大のギャンブルは、もう一度やってみることでした。ベルリン・テイスティングでの結果を、孫の代まで語り継がれる“伝説”として、大事にしておくこともできたので」
そんなチャドウィック氏の懸念を吹き飛ばすかのように、日本を含む世界15カ国で行われたテイスティングでも、トップ3の90%をチリワインが占め、その評価を不動のものとした。
『SENA』は日本料理にも良く合う。5、6種のぶどうを混ぜ合わせることで現れる複雑な味わいが、同じ食材をいろいろな食感や風味で仕立てる和食に似ているためだそうだ。
「土壌から丁寧に作られた良質なワインには、大地のすべてのエネルギーが集まっている。ワインは家族や友人とわいわい楽しめる身近なものであると同時に、極めてアーティスティックであってほしい」
世界中のワイン愛好家をうならせる『SENA』には、そんなチャドウィック氏のワイン哲学が詰め込まれているようだ。(SANKEI EXPRESS)