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【勿忘草】心をケアする居場所
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「タコ丼できたよ」「ちょっと休んでいったら」。明るい声が飛び交い、笑顔がはじける。岩手県大船渡市の末崎地区にある住民交流拠点「居場所ハウス」では月に1、2回のペースで朝市が開かれている。
野菜に焼き鳥、地元で採れたホタテ…。2月の朝市では約10団体が出店した。買い物をする人もいれば、おしゃべりを楽しむ人もいる。
居場所ハウスは、2013年6月、高齢者の知恵と経験を生かし、多世代交流の場にしてもらおうと、末崎地区の高台にオープンした。地域住民らで作る、NPO法人「『居場所』創造プロジェクト」が運営。施設内にキッチンを備え、椅子とテーブルが並ぶ。お茶を飲んで自由におしゃべりできる、目的がなくても立ち寄れる場所だ。
災害公営住宅の建設などが進み、住まいが変わる人が増え、高齢化が進むなか、地域コミュニティーをどう形成していくかが大きな課題だ。人と人をつなぐ役割を果たす居場所ハウスには、大きな期待がかかる。末崎地区の公民館長で、このNPOの近藤均理事長は「居場所ハウスに来るのに、目的はいらない。足を運ぶ高齢者も自然と増えた」と話す。
居場所ハウス近くの市営住宅に住む村上セツさん(92)は、イベントがあるたびに、居場所ハウスに足を運ぶ。震災当時は末崎地区に住んでいたが、知り合いのいない別の地区の仮設住宅に入居。精神的に参ってしまい引きこもっていた。だが、昨年6月、末崎地区の市営住宅に入居したのを機に、居場所ハウスに来るようになり、生活は一変した。家から出て歩くことで体を動かし、居場所ハウスでの知人との交流で明るい気持ちが生まれる。村上さんは「みんながセツさんって声をかけてくれる。ここに来る人は家族みたい。私にとって生きがい」とうれしそうに話す。いろいろな人から声をかけられ、おしゃべりするセツさんの表情はいきいきと輝いていた。
高齢化が進むなか、健康に長生きしたいという願いは誰もが持つことだ。人と人のつながりは、地域の活力を生むだけでない。
居場所ハウスの鈴木軍平館長は「交流することが心身のケアにつながっていく」と話す。(油原聡子/SAN KEI EXPRESS)