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芯の強い私らしいエポニーヌにしたい 舞台「レ・ミゼラブル」 平野綾さんインタビュー
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「谷崎潤一郎と江戸川乱歩が好き」と文学マニアでもある平野綾さん=2015年4月3日午後、東京都千代田区(鴨川一也撮影) アニメ「涼宮ハルヒ」シリーズで声優として人気が沸騰、その「七色の声」で歌手、女優と活動の幅を広げてきた平野綾(27)が、ミュージカル「レ・ミゼラブル」新演出版の再演で、再びエポニーヌに挑む。初挑戦から2年、この間に主演舞台もこなし、着実に実力を上げてきた。「『芯の強さ』が私の持ち味」と話し、女子高校生ハルヒから「大人の女優」への階段を駆け上ろうとしている。
「レ・ミゼラブル」はフランスの文豪ビクトル・ユゴーの原作で1985年、ロンドンで初演。パンを一切れ盗んだ罪で19年間、投獄されたジャン・バルジャンを軸に19世紀初頭のフランスの社会情勢を描く。日本では1987年初演、2013年に人物像や舞台美術を再構成した新演出版を上演。国内の公演回数は2817回を数え、今回の公演中に3000回を迎える。
パリの下層社会に生きたエポニーヌは報われない恋を貫き革命の犠牲となる。「前回は分からないことだらけで、いっぱいいっぱいだった」。その後、昨年はミュージカル「レディ・ベス」で後のエリザベス1世役を主演するなど、キャリアを重ねてきた。
役柄は資料や映像で徹底的に研究する。「いままでの役が私の中に生きている。今回はそれを生かした私らしいエポニーヌにしたい。ただかわいそうなだけではない、けなげに生きていて諦めない、芯の強さを表現したい」と話す。
2012年に公開された英国制作の映画版の大ヒットは記憶に新しい。映画の影響もあって、前回は戦闘シーンなどでリアルな表現が追求された。今回は、人物の内面をより深掘りすることに重きが置かれている。「エポニーヌはガサツな部分が減るかも。弱い部分もあるのに、強い部分を自分で示すところが私っぽい、と言っちゃうような。どんな状況でも食らいついていく姿勢は、自分の地でできるかもしれません」
活動の原点は幼少時に住んだニューヨークで、家族と一緒に見たブロードウェーミュージカルの、おぼろげな記憶に遡(さかのぼ)る。「非日常だったけど、もしかしたら自分でも手が届くかもという憧れ。いつかあそこに行きたい」と、本場の舞台に立つ夢を持つ。
最近のミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」では湖の貴婦人役で、アドリブで歌うことを覚えた。「まずは譜面通りに歌うのが基本。でも自分なりの感情や表現で好きに歌える、という勉強ができて新鮮でした」
表現の幅を広げるために「早く30代に突入したい」と話す。「歌も芝居も年齢で説得力が出せない部分が大きい。常にチャレンジしたい精神があるので、何年も自分で打ち出していくことで、周りの方に納得していただけるはず」
スケジュールは何年も先まで埋まっている。多様な仕事が自分の中で混乱しないよう、ギアチェンジするすべも身につけた。「アウトプットは多いのにインプットできないのが悩み」。それでも寸暇を惜しんで英語、韓国語の勉強を続ける。
大の読書家で歌詞も書いており「ゆくゆくは本を書いてみたい」と目を輝かす。「(来月から刊行が始まる)谷崎潤一郎全集がすごく楽しみ。江戸川乱歩も大好き」と、文学少女の意外な一面ものぞかせた。(文:藤沢志穂子/撮影:鴨川一也/SANKEI EXPRESS)
4月17日~6月1日 東京・帝国劇場(プレビュー公演、4月13~16日)。<問い合わせ>東宝テレザーブ(電)03・3201・7777。名古屋、福岡、大阪、富山、静岡など地方公演あり。