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ハイティンク-ベルリン・フィルのショスタコービチ 月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」6月号 

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ハイティンク-ベルリン・フィルのショスタコービチ 月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」6月号 

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NHK交響楽団の首席指揮者に就任するパーヴォ・ヤルヴィ。(C)Jean_Christophe_Uhl  ≪世界のトップオーケストラ 今聴きたい交響曲・協奏曲≫

 オーケストラの演奏会のプログラムには、そのオーケストラや指揮者の個性が見て取れる。特に定期演奏会はオーケストラの顔ともいうべきもの。月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック6月号」は「世界のトップオーケストラ 今聴きたい交響曲・協奏曲」を特集、今シーズンや来シーズンに演奏される曲や指揮者などを解説している。

 世界の頂点に立つベルリン・フィルのスケジュールは大変忙しい。5月の日程を見てみよう。9、10日はマリス・ヤンソンスの指揮でバルトーク「弦、打楽器、チェレスタのための音楽」、フランク・ペーター・ツィンマーマンをソリストにショスタコービチのバイオリン協奏曲第2番。14日から16日は、パーヴォ・ヤルヴィの指揮でショスタコービッチの交響曲第1番とプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番ほか。ソリストはユジャ・ワン。

 22、24、25日はノセダ指揮、デノケの独唱で、R・シュトラウス「4つの最後の歌」、チャイコフスキーの交響曲第4番など。29日から31日はハイティンクの指揮でシューベルトの交響曲第5番、ショスタコービチ最後の交響曲第15番と11回の公演が入っている。

 この中で、注目のコンサートを一つあげるとするとハイティンクのショスタコービチ。ショスタコービチは作曲当時、入退院を繰り返し、死期が近いことを自覚していた。「作品は、人生を振り返り、観照するような印象を与える」とベルリン在住の音楽評論家、城所孝吉氏。今年86歳の巨匠ハイティンクは、この作品を2度録音しており、愛着がある。「80歳を超えてからの録音は、ハイティンクの達観した心境が作品と一致した印象を与える」という。

 また、城所氏によると、ヨーロッパのオーケストラのプログラムは、「作曲家の記念年や特定のテーマを軸に関連作品をちりばめる」から、「ひとつの演奏会の中で内容的に関連したプログラムを組む」という方向に変わってきている。今年はシベリウスの生誕150年のアニバーサリーだが、今シーズンのベルリン・フィルは芸術監督ラトルのシベリウス交響曲全曲演奏を1月から2月にかけて行っただけだ。

 ヤルヴィの就任記念演奏会

 日本のオーケストラの大きな話題の一つは、ヤルヴィがNHK交響楽団の首席指揮者に就任すること。ドイツ・カンマー・フィルやhr響、パリ管弦楽団などで、その実績は十分に世界に知れ渡っている。

 10月に就任記念演奏会が3つのプログラムで組まれている。3、4日はマーラーの交響曲第2番「復活」。14、15日はR・シュトラウスの「ドン・キホーテ」(チェロ、トルルス・モルク)と、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」など。23、24日はショスタコービチのバイオリン協奏曲第1番(バイオリン、五嶋みどり)とバルトーク「管弦楽のための協奏曲」など。

 ヤルヴィとN響は、すでにR・シュトラウスの交響詩録音プロジェクトを始めている。2月の定期公演で演奏された「ドン・ファン」と「英雄の生涯」をライブ録音した。この演奏を聴いた音楽評論家、広瀬大介氏は「自分たちのオーケストラをより豊かなものにしたい、そのために新しい指揮者と共に歩んでいきたい、という強い自発性が力強く湧き上がっているのを聴くことができた」と記す。CDは9月に発売予定。(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS

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