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【官邸ドローン事件】意図的に飛ばし落下か 経路特定へ

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【官邸ドローン事件】意図的に飛ばし落下か 経路特定へ

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官邸の出入り口周辺を警備する警察官ら=2015年4月23日午後、東京都千代田区・官邸周辺(宮崎瑞穂撮影)  東京都千代田区の首相官邸屋上で見つかった小型無人機「ドローン」は、4枚あるプロペラを保護する部品の一つが損傷し、ひっくり返った状態だったことが23日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁麹町署捜査本部は、何者かが官邸上空にドローンを意図的に飛ばし、着陸に失敗したか、落下した可能性があるとみている。さらに機体の詳しい状況を調べ、飛行経路の特定を急ぐ。

 また屋上のヘリポートが最後に使われたのは3月22日で、その際にドローンは確認されなかったことも判明。捜査本部は、飛来した日時の特定が操縦者の割り出しにつながるとみて、周辺の防犯カメラ映像の分析や関係者への聴取を進める。

 警視庁は事件を受け、官邸や国会議事堂を中心とした数百メートル範囲の警備を強化。周辺のビル管理者らに部外者が屋上に上がらないよう施錠や点検の徹底を申し入れるほか、不審者の職務質問に力を入れる。

 今国会中に法規制

 一方、菅義偉(すが・よしひで)官房長官(66)は23日の記者会見で、ドローンをめぐり今国会中の法規制を検討する考えを示し、24日に関係省庁の局長級会議を開くと明らかにした。

 見つかったドローンは中国に本社がある「DJI」の「ファントム」と呼ばれる機種で、手動操作の場合、操縦者から数百メートルの距離まで飛行でき、空中にとどまることも可能。1月に米ホワイトハウス敷地内に墜落したものと特徴が似ている。販売時の機体は白色だが、黒く塗られていた。

 ドローンから検出された放射性セシウムは自然界にほとんど存在せず、捜査本部は機体に付いていた容器内の液体に、東京電力福島第1原発事故で放出されたセシウムが含まれている可能性もあるとみている。

 捜査関係者らによると、ヘリポートは3月22日、安倍晋三首相(60)が防衛大学校(神奈川県横須賀市)の卒業式に出席する際に使われた。以降の職員の出入りは確認されていない。屋上は警察官による日常的な巡回の対象ではなかったという。

 DJIの日本法人は事件を受け、製品の仕様を変更し、官邸と皇居周辺を飛行できなくすると明らかにした。

 ≪高さ制限、管制承認…海外では厳しい対応≫

 小型無人機の利用をめぐっては各国とも安全上の理由から法規制を強める傾向にある。米国や英国、フランスでは、空港周辺の使用には許可が必要。空港周辺でなくても目で見える範囲以外での使用を禁止したり、制限したりするなど、日本より厳しい規制を導入している。

 米連邦航空局(FAA)は、趣味で利用する場合は高さ約122メートル以下に飛行を制限。商用利用は高さ約152メートル以下にする方向で検討している。空港周辺では管制機関の承認が必要だ。

 米首都ワシントンでは1月、政府職員が娯楽目的で飛ばしていた小型無人機が制御できなくなり、誤ってホワイトハウスの敷地内に墜落したことも。米メディアによると、この機体の製造会社は飛行禁止空域に入ることができなくなるプログラムの導入を発表した。

 フランスの航空当局は、空港周辺でなくても目視で確認できない場合は高さ約50メートル未満に利用を限定。小型無人機にも他の航空機と同様の規定を適用している。今年2月にはフランスの捜査当局がパリ上空に小型無人機を無許可で飛行させたとして、中東の衛星テレビ、アルジャジーラの記者ら3人を拘束した。

 昨年10月には、フランス9カ所の原発上空で無人機の飛行が目撃された。背景は分かっていないが、現地報道によると、原発の半径5キロ以内の飛行は禁止されており違反した場合は禁錮1年と7万5000ユーロ(約960万円)の罰金が科される。

 英当局は空港周辺以外でも目視の範囲を超える場合の使用を禁止し、目で見える範囲でも約122メートルより高い場所での利用を禁じている。

 国際的な規制ルール作りの動きも進んでいる。欧州連合(EU)加盟国が2007年に設立した「無人機システムの規則に関する航空当局間会議」(JARUS)は国際的な無人機規制に関するルール作りを目指しており、今月中旬のアイルランドでの会合には日本の国土交通省の担当者も初めて参加した。(共同/SANKEI EXPRESS

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