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稽古して、おにぎり食べてまた稽古 堀北真希、G2 舞台「嵐が丘」
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「力を振り絞らないとなれない」というキャサリン役に挑む堀北真希さん=2015年4月15日、東京都江東区(寺河内美奈撮影) 世界中で読みつがれてきた名作「嵐が丘」が舞台化され、堀北真希(26)がヒロインのキャサリンを演じる。19世紀のイングランド北部の荒野で、孤児ヒースクリフ(山本耕史)との関係をめぐる愛憎劇は「嫉妬に燃える姿を美しく見せる」ことが課題。情熱的で複雑な感情を持つキャサリンに、力を振り絞ってなり切ろうとしている。
「嵐が丘」は1847年にエミリー・ブロンテが発表した小説で、農場主に拾われたヒースクリフの復讐(ふくしゅう)劇が軸。主人の死後、下男にされたヒースクリフと娘のキャサリン(堀北)は愛し合うが、キャサリンは裕福な家のエドガー(伊礼彼方)と結婚。傷心のヒースクリフはその妹イザベラ(ソニン)を誘惑。複雑な感情が絡みあう展開を、家政婦ネリー(戸田恵子)が語っていく。脚本・演出はG2。
堀北の舞台出演は4度目。今回あえて原作を「読んでいない」とまっさらの状態で臨んでいる。キャサリンの第一印象は「我が強くて自分の欲にストレート。ヒースクリフと自分をセットとして、エドガーと結婚する方がよいと考えるところは現実的」とみる。
舞台は、複雑な人間関係を荒野の中でビジュアル化する「動くアート紙芝居」(G2)のイメージ。「嫉妬を美しく」はG2の指示。ヒースクリフをめぐるキャサリンとイザベラの争いを「ヒースクリフとのつながりはキャサリンにとって、ある種の美学もある譲れないもの。お互いが譲れないものを持った上でのケンカは美しい」とG2はひもとく。堀北は「攻撃的にはなれても、美しく見えるかどうかが課題」と悩みながら稽古を重ねている。
「嵐が丘」は、過去に何度も映画化や舞台化がされてきた。ただ人間関係が複雑な分、舞台に乗せるのは難しい作品ともいえ、登場人物はみな、救いようがないようにも見える。
「それが本来の人間の姿かも。携帯電話などなかった時代に人がどうぶつかりあい、悲劇が生まれたかを舞台で仮体験することで、見えなかった何かが見えてくる。『難しい小説』と敬遠している人たちを引き込み、今回を舞台の決定版としたい」とG2は話す。
G2からみた堀北は「イエスかノー、黒か白かはっきりしている点がキャサリンと似ている。美意識や価値観がしっかりあってミステリアス。舞台に慣れすぎていない新鮮さがある」。
2010年に「ジャンヌ・ダルク」の主演で初舞台を踏んで以降、主演級の大舞台を経験してきた堀北だが、「いままでの経験は役に立たない」と言いきる。キャサリン役には相当なエネルギーを使う。「力を振り絞らないとキャサリンになれない。ご飯食べて稽古して、またおにぎり食べて稽古して」
一生懸命になり過ぎると自分の動きが客観的に見えなくなる。そんな時は山本がアドバイスしてくれるという。「そんな簡単なことだったのか、と気付かされます」と感謝する。稽古の後は、家に入る前に近所を歩いてクールダウン。「自分の感情の振り幅の何十倍も振り過ぎて切れちゃってくたくた。落ち着けないと帰れない」と笑った。(文:藤沢志穂子/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)
5月6~26日 東京・日生劇場
問い合わせ チケットホン松竹(電)0570・000・489