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【ネパール大地震】飛び交う余震のデマ 募る焦燥感
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空港の出発ロビーの外側で身を寄せ合いながら眠る人たち=2015年4月27日未明、ネパール・首都カトマンズ(ロイター) 雨に震えながら身を寄せ合う人々。飛び交う余震のデマに気が休まらず、焦燥感が募る。大地震が襲ったネパールの首都カトマンズ中心部の広場では26日、余震を恐れて屋外に避難した被災者数千人がすし詰めになり、凍える寒気と暗闇の中、眠れぬ不安な夜を過ごした。
「また(余震が)来るわ」。女性の叫び声が突然上がった。実際に揺れは起きなかったが、座っていた数百人がわれ先にと逃げだしパニックになった。普段は政府が記念式典などを行う屋外広場。ぎっしりと人々が身を寄せ合って座る観客席では、階段から転げ落ちた人の下敷きになる人も出て、悲鳴や怒号、泣き声が響き渡った。
≪続く停電、凍える雨 「支援物資何もない」≫
カトマンズは27日、雨が上がり、車やバイクが行き交うなど交通が戻りつつある。ただほとんどの商店は閉まったままで、通信状況も不安定だ。
中心部にある広場では、赤れんがの建物が崩落し、高さ約2メートルのがれきが半径約30メートルにわたり散乱。地元住民ら数百人が集まっていた。下敷きになった人がいる恐れがあるという。近くにいたトルコの救助隊員の男性は「救助しなければいけない所が市内にありすぎて、どこから手を付けたらいいか分からない」と話した。
25日の大地震発生後、カトマンズでは停電が続く。一部のホテルは夜間、自家発電で明かりがともるが、大半の地域は真っ暗。救助活動が行われている気配もなく、食料や水などの支援物資は行き渡っていない。住民の大半が広場や駐車場、路上で夜を明かしていた。
ヒマラヤ山脈の南側に位置する現地では26日夜から雨が降り始めた。街は底冷えし、吐く息は白い。広場には屋根代わりにシートを張っただけの簡易テントが無数に並ぶ。テントがない人も多い。
観客席で3歳の娘を膝に抱いた母親、オンジュ・シェルチャムさん(22)は、親戚ら計9人で逃げてきた。大人が横になるスペースはなく、顔には疲労がにじむ。
家に大きな被害はなかったが、余震が怖くて避難。自宅から持ってきた薄い毛布1枚を数人で使っていた。「寒くて今夜は眠れそうにない。ひたすら座り続けるだけだわ」と表情は暗い。
男性エンジニア、ミャム・スレスタさん(51)は「支援物資が何もない。家から持ってきたドライフルーツで空腹をしのいでいる」と話した。(共同/撮影:ロイター、AP、共同/SANKEI EXPRESS)