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【日米首脳会談】「TPP大筋合意へ」 ムード演出 中国への対抗軸期待

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【日米首脳会談】「TPP大筋合意へ」 ムード演出 中国への対抗軸期待

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訪米中の安倍晋三(しんぞう)首相(左から2人目)とバラク・オバマ米大統領(右から2人目)の日米首脳会談では、協調ムードを演出=2015年4月28日、米国・首都ワシントン(AP)  日米両国は28日の首脳会談で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉進展を強調した。アジア太平洋地域の通商ルールの構築を目指し、12カ国が参加する全体交渉の大筋合意に向け、ムードを高める演出をしてみせた。だが実際には、越えなければならないハードルが依然多く残されている。

 大きな推進力

 「人やモノや資本がしっかりとしたルールの下で自由に行き交うことで、参加する国々は間違いなく豊かになっていく」。安倍晋三首相はホワイトハウスでの首脳会談後の記者会見で、TPPの意義を訴えた。オバマ米大統領も「進歩的な貿易協定になる」と指摘し、交渉妥結への意欲を表明した。

 日米両国は首脳会談で交渉前進を打ち出すため、ぎりぎりの調整を続けた。決着できる段階になるまでは開かないとみられていた甘利明(あまり・あきら)TPP担当相とフロマン米通商代表による閣僚協議を19~21日に実施し、その後も首脳会談の直前まで事務レベルで議論を継続した。

 「進展」にこだわったのは、日米が交渉参加国の中でも経済規模が大きく「TPP全体の妥結の大きな推進力になる」(政府高官)とみているためだ。両首脳は、経済的に存在感を高める中国への対抗軸としてTPPが欠かせず、何としても大筋合意にこぎ着ける必要があると考えている。

 大筋合意の期限は6月とされる。米国は来年、大統領選一色となり、議会で与野党が対立する法案の成立が困難になるためだ。年末までに関連法案を成立させねばならないが、国内法との整合性確認などに費やす時間を考えると「半年程度は必要」(交渉筋)という。

 こうした事情から、米国は5月下旬にも閣僚会合を開き、交渉妥結への道筋を付けたい考えだ。

 知財など課題

 ただ、12カ国全体で大筋合意するには多くの障害がある。特に大きな課題となっているのが知的財産分野だ。

 新薬開発データの保護期間をめぐり、国内新薬メーカーへの利益に配慮して10年以上を主張する米国と、安価なジェネリック医薬品(後発薬)の普及を狙い、5年以下としたい新興国との間で主張の隔たりが埋まらない。

 物品関税でも、日本はニュージーランドやカナダとの交渉が遅れている。ニュージーランドは日本に乳製品の輸入を増やすよう要求している。カナダは日本が重要項目とする牛・豚肉や麦の関税撤廃を求め続けているもようだ。

 ある日本政府筋は「ニュージーランドやカナダとの間には、課題がまだたくさん残っている。6月までに終わらないのではないか」と指摘した。(共同/ SANKEI EXPRESS

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