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【ネパール大地震】観光国ネパール 安全地域襲う「二次被害」
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ネパールのポカラの山道で土産物を売る女性。地震の被害はないが、観光客が激減したという=2015年5月6日(吉村英輝撮影) 大地震発生から9日で2週間となるネパールで、主要産業の観光が危機に直面している。首都カトマンズで歴史的建造物が倒壊し、世界最高峰エベレストでは多くの犠牲者を出した。トレッキングで世界的に人気の高いポカラなど被災を免れた地域でも、「危険」とのイメージからキャンセルが相次ぎ、“風評被害”が広がっている。
「地震被害はなく安全なのに、向こう3カ月の宿泊やレジャーの予約の9割がキャンセルになった。これでは地震の“二次災害”に巻き込まれたのと同じだ」
カトマンズの西約200キロのポカラで、ホテル協会のパラジュリ会長は深いため息をついた。ポカラはヒマラヤの高峰を望むことができ、トレッキングなどの拠点となっているネパール第2の都市だ。
カトマンズと約30分で結ばれる航空路線は、震災前の1日50便近くから10便程度に激減し、それでも空席が目立つ。宿泊客がいなくなり、従業員を故郷に帰したホテルもあるという。
ポカラは政府指定の被害エリアに含まれず、街を歩いても建物などに被害は見られない。ところが他地域の大きな被害から海外などで危険イメージが増幅され、かき入れ時の夏場が近づくなか、関係者の生活にかかわる問題となってきている。
丘陵の頂上に建つ寺院で住職(51)は仏塔下部の亀裂を指さし、「すぐに修復できる被害だが参拝客は激減した」と話した。近くで土産物の屋台を出す女性(38)は「地震後は参拝客が10分の1に減った。夏の本格シーズンにも客が戻らなければ、家族5人食べていけない」と嘆く。
ネパール当局は、エベレストへの今季の登山中止を決めた。地震で崩れた登頂ルートの修復が見込めなくなったためだが、昨年も雪崩でガイド役のシェルパ多数が死亡した事故を受けてシーズン途中で登山打ち切りになっており、2年連続のダメージとなる。
ネパールでは成長顕著な観光が産業の柱となっており、アジア開発銀行は、地震による影響は「甚大」と指摘。今年度の経済成長率が3月予測の4.6%から、3%台前半に落ち込む可能性があるとみている。
ネパール商工会議所連合観光部のバワニ・ラナ議長は「安心して自然を楽しめる場所は多い。観光の復活は復興にもつながるので、今こそ遊びに来てほしい」と訴えている。(ポカラ 吉村英輝/SANKEI EXPRESS)
≪全半壊56万戸 テント・シート追いつかず≫
ネパール内務省は7日、大地震の影響で全半壊した建物が約56万戸に上ることを明らかにした。テントや防水シートの配給が追いつかず、さらに救援物資が必要だとしている。集計では全壊が約29万9000戸、半壊は約26万9000戸。
山間部では被害状況の把握が遅れているため、損壊した建物はさらに多いとみられる。
7日の警察発表によると、国内の死者数は7765人で、近隣国と合わせ死者数は約7860人になった。負傷者数は約1万6000人。(共同/SANKEI EXPRESS)