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朝鮮総連トップ次男ら3人逮捕 マツタケ不正輸入、容疑否認
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外為法違反容疑で逮捕され自宅を出る朝鮮総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長の次男、許政道(ジョンド)容疑者(右から2人目)=2015年5月12日午前、東京都足立区(宮川浩和撮影) 北朝鮮産マツタケの不正輸入事件で、京都府警と神奈川、島根、山口県警の合同捜査本部は12日、外為法違反の疑いで、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)トップ、許宗萬(ホ・ジョンマン)議長の次男、許政道(ジョンド)容疑者(50)=東京都足立区=ら3人を逮捕した。政道容疑者は「不当逮捕なので一切協力はしません」と容疑を否認。ほかの2人も否認している。
ほかに逮捕されたのは、朝鮮総連傘下の貿易会社「朝鮮特産物販売」社長、金勇祚(キム・ヨンジョ)容疑者(70)=東京都八王子市=と、朝鮮特産物販売の元社員で食品商社社長、山中和秀容疑者(63)=埼玉県草加市。
捜査本部は12日、政道容疑者の自宅や朝鮮特産物販売が実質的に入居する都内の関連会社など7カ所を家宅捜索した。
逮捕容疑は、政道容疑者らは共謀し、2010年9月27日、北朝鮮産のマツタケ約1800キロ(輸入申告価格約450万円)を中国産と偽り、中国経由で不正に輸入したとしている。政府は核実験実施を理由に06年以降、北朝鮮からの輸入を全面禁止している。
捜査本部は今年3月26日に、貿易会社「東方」社長(61)と東方社員(42)=いずれも外為法違反罪で起訴=を逮捕。朝鮮総連側は「東方とは何の関係もない」と主張してきた。だが、2人は朝鮮特産物販売に勤務経験があり、不正輸出をめぐる本国とのやり取りは、東方を拠点に政道、勇祚両容疑者が取り仕切っていたとみて裏付けを進めてきた。
捜査本部は、朝鮮総連の組織的関与についても調べる。政道容疑者は、北朝鮮への投資や送金のほか、朝鮮総連の秘密資金の管理に携わってきたとされ、今回の捜査が、北朝鮮と朝鮮総連間の裏の資金ルートに影響する可能性がある。
≪厳粛な法執行 拉致問題進展へ圧力≫
拉致被害者らの安否について北朝鮮が再調査することが決まった「ストックホルム合意」から間もなく1年。その結果がいまだに寄せられない中、警察当局は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬議長の次男らの逮捕に踏み切った。法と証拠に基づく捜査の結果だが、北朝鮮や朝鮮総連が今後反発を強めることは必至で、両者への一つの“圧力”となったことは間違いない。
3月26日に捜査当局は許議長の自宅を家宅捜索。北朝鮮は4月2日、再調査をめぐる日朝政府間協議の中断をほのめかす通知を送付した。朝鮮中央通信によると、北朝鮮は家宅捜索を「前代未聞の国家主権侵害行為」と非難した。
だが、日本政府は通知を「全く受け入れることはできない」とし、安倍晋三首相(60)は翌3日の拉致被害者家族との面会で、こう言い切った。「大切なことは、拉致問題を解決しなければ、北朝鮮がその未来を描いていくのが困難だということを北朝鮮側にしっかりと認識をさせていくことだ」
安倍首相の発言は、北朝鮮の通知文を政府が「ブラフ(脅し)」とみていることを示している。現に通知では、日朝協議の打ち切りを明言しなかった。
外貨不足に陥り、国際的に孤立を深めた北朝鮮が日本に接近し、拉致被害者の再調査は始まった。北朝鮮に対する制裁措置の一部が緩和されたとはいえ、外貨はいまだに得られていない。北朝鮮が日朝対話の舞台から降りる決断をするには、環境が整っていないことは明白だ。
逆に日本側はもう1枚のカードを握っている。朝鮮総連中央本部の家宅捜索だ。許議長の自宅は家宅捜索が行われたが、中央本部にはいまだに手をつけていない。日本と国交のない北朝鮮にとって、中央本部は「事実上の大使館」の意味を持つ重要拠点。捜査当局の手が入ることは、北朝鮮にとって計り知れない衝撃となる。
警察当局は「北朝鮮が『捜査』を拉致問題との関連性でとらえて反発していることは承知している」とし、「今後も北朝鮮側の反応を注視していく」という。安倍政権が最重要課題とする拉致問題を絡めて北朝鮮が反発していることは、朝鮮総連への捜査を“圧力”と感じていることを示している。厳粛な法執行は拉致問題を動かす一つの鍵となる可能性がある。(加藤達也、森本昌彦/SANKEI EXPRESS)