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「自分たちらしさ」 徹底的に考えて flumpool
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4人組バンド、フランプール=2015年2月2日(提供写真) flumpoolといえば、音楽好きには説明不要なほどの存在だといっても過言ではないだろう。2008年のデビューから1年で日本武道館2日間公演を即完売。ツアーで10万人を動員。NHK紅白歌合戦へ連続出場を果たし、台湾、シンガポールでの公演を成功させるなど、華々しい実績を誇る。しかし彼らはそういった成功に満足することなく、自らのあるべき姿をしっかりと提示することを意識して音源を作った。1年ぶりの、コンセプトディスクと称した新作について話を聞いた。
ボーカルの山村隆太は「自分たちが一番好きで、一番自分たちらしいものは何かを考え、徹底的にそれを表現した結果、4曲ができあがった」と制作時を振り返る。ドラムの小倉誠司は「ホールツアーまではできるようになったが、さらに上のドームやスタジアム公演を実現させるためにはどうしたらいいのかを考えた」という。
作曲を手掛ける阪井一生は「自分たちのスタイルを明確に示さないままさまざまな楽曲を生み出してきたが、今作でフランプールはこれだ!と提示できる音楽性を模索した」と語る。
バンドの今後の礎となる新作は、心臓に例えて「FOUR ROOMS」と名付けられた。アコースティックギターを中心に、バンドサウンドがシンプルかつバランス良くアレンジされ、山村の歌声が伸びやかに舞うように響く。
ベースの尼川元気は「ファンクラブツアーをやった手応えとして、シーケンス(自分たち以外の音)がたくさん出ていることよりも、もっと肉体的な音が出ること、シンプルなものをしっかり伝える、というところに立ち返れた。そうしたことも影響している」と振り返った。
たくさんの音が重なるスケール感のあるサウンドもすばらしいが、自分たちらしさを追求し表現するシンプルな音は、4人の顔がそれぞれ見えてくるような生き生きとした生命力を感じさせる響きだ。作詞を手掛けている山村は「自分らしくいられる、好きなものを好きでいられる、そんな場所を見つけたいという気持ちが曲になっている」と語る。
8月にはメンバーの地元、大阪の大泉緑地での野外ライブが予定されている。小倉は「フランプールは、大阪、関西のバンド、というイメージをあまり持たれていないので、改めて地元が大阪だというのも知ってもらいたい」と語る。
自らのアイデンティティーをしっかりと提示する今年は、彼らにとって新たなスタート地点となるかもしれない。(音楽評論家 藤田琢己/SANKEI EXPRESS)