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「選挙公報.com」(下) 若者の投票率アップへ認知拡大課題

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「選挙公報.com」(下) 若者の投票率アップへ認知拡大課題

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統一地方選で投票をする筆者=2015(平成27)年4月(有志学生記者提供)  【Campus新聞】

 今回の統一地方選挙での投票率は、10道県知事選の平均投票率が47.1%で、過去最低だった2003年の52.63%を下回り、初の50%割れとなった。また、41道府県議選の平均投票率も45.05%と、過去最低だった前回11年の48.15%を下回った。

 有権者は、国や自分たちが住む自治体の未来を左右する投票権をなぜ放棄してしまうのだろうか。

 少ない情報量

 選挙に行かなかったという、友人、知人約30人に、その理由について聞いてみた。順位は以下の通りになった。

1位 仕事や用事があった

2位 政策や候補者の人物像などの情報量が少ない

3位 たった一票の投票では何も変わらない

4位 適当な候補者がいなかったから

5位 選挙に関心がないから

 この中で特に注目したのが、2位の政策や候補者の人物像などの情報量が少ないという理由だ。なぜなら「選挙公報.com」(www.senkyok.com)の活動により解消することが可能だからである。

 2013年の参院選から、インターネットによる選挙運動が解禁され、候補者自身や政策について、有権者にわかりやすく伝える手段として活用が広がっている。若手の候補者は、ツイッターやブログを通して有権者に対し積極的に情報発信を行っており、そのことで、候補者に親しみを持つ有権者は少なくない。ただ、候補者の年齢層が高いこともあり、全体としてはネットを効果的に活用できていないのが実情だ。その結果、有権者が、候補者自身や政策についての情報量が少ないという状況が生まれている。

 では、情報量が少ない中、有権者は何を基準に投票したのだろうか。今度は選挙に行った友人、知人約30人に聞いてみた。順位は以下の通りだった。

1位 政党で投票した

2位 駅で演説をしていたから

3位 駅でビラをもらったから

4位 握手をしたから

5位 選挙公報を見て政策を確認したから

 ここで注目したのは1位と5位である。議員がどんな人物で、どんな政策を訴えているかを知らず、政党名だけで判断するというのは、効果的に選挙権を行使したとはいえないのではないだろうか。これに対し、選挙公報を確認したという回答があったことには、「選挙公報.com」の活動を続けていく上で、手応えを感じた。

 8県で発行なし

 ただ、課題も多い。選挙公報に多数の問題点があるからだ。1つ目の問題は、そもそも選挙公報を発行していない自治体が少なくないということだ。調査では、今回の統一地方選挙で新潟、山梨、岐阜、愛知、福井、岡山、広島、山口の8県が選挙公報を発行しなかった。すべての自治体で早急に選挙公報が発行されることが望まれる。

 2つ目の問題点は、選挙公報の配布方法だ。新聞の折り込みチラシなどで配布している自治体が多いが、これでは新聞を取っていない家庭には届かない。新聞購読者が減少しつつある現在、確実に行き渡る配布手段を考えるべきである。3つ目の問題点は、選挙公報の作り方だ。自宅に届いた選挙公報は、白黒で読んでみようという意欲がわかない。もっと見やすくして、有権者が読みたくなるような工夫が必要だ。

 政治活動チェック

 「選挙公報.com」の今後の運営にも課題は多い。最も重要なことは、その存在を世間に広め、認知度を高めていくことだ。広報活動の成果として、複数の全国紙に「選挙公報.com」を紹介する記事が掲載された。今後は、日常的にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通して「選挙公報.com」の活動を拡散するなどを通じ、有権者に誰に投票するかを考える際の一つの手段として認めてもらう必要がある。

 有権者は候補者の「情報」を求めている。その情報が凝縮されているのが選挙公報だ。「選挙公報.com」では、選挙後も常時閲覧できるので、候補者の選挙当時の公約と、現在の主張や活動を比較することができる。候補者の情報を知り、選挙後の政治活動をチェックできれば、政治への関心が高まり、投票率のアップにつながるはずだ。「選挙公報.com」の活動が、日本の未来を明るくすることに貢献できると確信している。(今週のリポーター:明治学院大学社会学部社会学科3年 佐々木惇、国学院大学法学部法律学科3年 小林修平/SANKEI EXPRESS

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